第2回 小学校英語に関する基本調査(教員調査)
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第1部 解説・提言3

「外国語活動」の導入を通してみえてくる学校現場
−「自信がなくても授業が遂行できるしくみ」とは何か?−

東京学芸大学教員養成カリキュラム開発研究センター准教授

金子真理子

1.新学習指導要領と「外国語活動」の導入

 1998(平成10)年に改訂された前回の小学校学習指導要領では、「多くの知識を教え込むことになりがちであった教育の基調を転換し、児童に自ら学び自ら考える力を育成することを重視した教育を行うこと」が必要とされ、授業時数の削減とともに、「各教科の教育内容を授業時数の縮減以上に厳選し基礎的・基本的な内容に絞り、ゆとりの中でじっくり学習しその確実な定着を図るようにすること」が目指された1 。その後、マスコミとさまざまな分野の論者を巻き込み、「学力低下」を危惧する声が広がったのは周知の通りである2
 これに対し、このたびの小学校学習指導要領改訂(2008〈平成20〉年3月告示、2011〈平成23〉年施行)では、授業時数の増加(総授業時数は6年間で278時間増)と、前回削った教育内容の復活が盛り込まれている。また、「総合的な学習の時間」の縮減と同時に、外国語活動(小学校5、6年生で週1コマ)が新設された。文部科学省は、授業時数の増加が必要な理由については、「子どもたちがつまずきやすい内容の確実な習得を図るための繰り返し学習(学年間での反復学習など)や、 知識・技能を活用する学習 (観察・実験やレポート作成、論述など)を行う時間を充実するためです。全国学力・学習状況調査の結果も踏まえ、このような学習のための時間を確保し、基礎的・基本的な知識・技能の習得と思考力・判断力・表現力等をはぐくむことを目指します3。」と説明している。
 外国語活動は、このような新学習指導要領の枠組みの中で導入されたわけだが、外国語活動の目標に関しては、「知識・技能の習得」の面からは言及されず、「外国語を通じて、言語や文化について体験的に理解を深め、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り、外国語の音声や基本的な表現に慣れ親しませながら、コミュニケーション能力の素地を養う。」と定められている。内容としては、「外国語を用いて積極的にコミュニケーションを図ること」と「日本と外国の言語や文化について、体験的に理解を深めること」が示されている。授業の実施にあたっては、「英語を取り扱うことを原則」とし、ネイティブ・スピーカーの活用、地域の人々の協力、CD、DVDなどの視聴覚教材の活用が促されている4
 学校現場では、このような位置づけの外国語活動をどのように受け止め、実施しているのだろうか。本稿では、教務主任調査の結果を中心に、必要に応じて学級担任調査の結果も参照しながらみていきたい。
1 文部省1999 『小学校学習指導要領解説―総則編―』東京書籍p.4。
2 市川伸一2002 『学力低下論争』筑摩書房、「中央公論」編集部・中井浩一編2001 『論争・学力崩壊』中央公論新社。
3 文部科学省HP「学習指導要領改訂の基本的な考え方に関するQ&A」参照。
  http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/qa/kihon.htm (2011年1月15日閲覧)
4 文部科学省2008 『小学校学習指導要領』東京書籍p.107、108。
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