若者の仕事生活実態調査報告書−25〜35歳の男女を対象に−

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第2部 分析編/第1章 働く若者の世界

第2節 仕事の充実感について

3.インタビューの事例紹介

アンケートの分析で見えてきた点に関して、インタビュー調査で得られた具体的なケースをみてみよう。以下は、「現在の仕事でやりがいや充実感を感じるのは、どのような点ですか」という主旨の質問に対する若者の回答である。

【男性 30代 未婚 アスレチックトレーナー】

仕事のやりがいを感じるのは、思いがけないところで選手に感謝されること。選手寿命がのびたよ〜、と感謝されたときはうれしかった。

【女性 20代 未婚 大学教授秘書】

教授が学会などで発表する資料も、とくに自分の名前が載るわけでもないが、自分がかかわらなかったら完成しなかったもの。協力して1つのことを仕上げる喜び、感謝される喜びがやりがいにつながっている。

【女性 30代 既婚 大学図書館職員】

本が好きだし、図書館のカウンターで学生さんと対話するなど、やっていることに誇りをもっている。人の役に立ち、自分の知識にもなる。

【男性 30代 既婚 税理士】

顧客に喜んでもらうことがやりがいにつながっている。そして、それは自分の個性にも合っている。税理士は通常、顧客より上の立場から接することが多いが、自分としては抵抗がある。かつての営業経験もあり、顧客満足を高める税理士業務に取り組みたい。

【男性 30代 既婚 ITコンサルタント】

仕事をいただけたときの喜び、お客様に感謝されたときの喜びが、やりがいにつながっている。仕事を選ぶときに、自分の個性や能力が生かされることは大切だけれど、それがお客様につながることがもっと大切だと思っている。

以上の事例をみてわかる通り、充実感をもって働く若者たちに共通しているのは、「自分の好きなこと・やりたいことができている」、あるいは「自分の個性や能力に合致した仕事ができている」といったことはもちろんであるが、仕事を通して「周りの人に感謝されている・役に立っているという実感」を得ており、それがやりがいや充実感につながっているということであった。一方、仕事のやりがいが感じられない若者も存在している。理由としては、仕事内容や組織上の問題などに阻害要因があるケースが多い。しかし、そのような中にあっても、取り組んでいる仕事の中にそれぞれのやりがいを見いだしている様子がうかがえた。

【女性 20代 未婚 システムエンジニア】

システムエンジニアは、スケジュール通りに進めていくタイプの仕事なので、全体的にルーチン化した業務ではあるが、部分単位では工夫やオリジナリティーを求められる。その点に関してはやりがいにつながっている。

【男性 30代 未婚 公務員】

大組織の歯車の1つとして働いているので、正直やりがいは見いだしにくい。しかし、官公庁の公金管理、資金運用を行っているので、大きな金額を動かし数字で成果を見ることができることが、多少やりがいにつながっている。

【男性 20代 未婚 メーカー経理職員】

チャレンジしたいスキルアップができない点は不満だが、会計という仕事が自分に向いていることと、会社全体の数字を把握していることにやりがいを感じる。

4.まとめ

以上の分析を踏まえると、高い充実感につながっている共通の要素が見えてくる。インタビュー事例として紹介したように、仕事内容や組織の方針、教育制度などは、時に若者のやりがいや充実感を左右する要因の1つとして働いている。これらは働く若者のやりがい・充実感の土台となる部分だと思われる。次に、より高い充実感を獲得している人のインタビューをみてみると、それぞれの置かれている立場や仕事は異なっていても、やりがいや充実感を感じるときに共通するポイントが観察された。すなわち、「自分のやりたい仕事であること」「自分の個性や能力が生かせること」といった自己実現の達成はもちろん、「人や社会の役に立つこと」といった他者や社会に貢献する価値観に基づく仕事への取り組みが、仕事の充実感へとつながっていくケースが多くみられた。今回のインタビューに協力していただいた30代男性の「仕事を選ぶときに、自分の個性や能力が生かされることは大切だけれど、それがお客様につながることがもっと大切だと思っている」という言葉によく表れていると思われる。

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