特集 つながる幼小の「学び」 ―幼稚園・保育園から小学校、その接続を考える―

VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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まずは教師が子どもの言葉を受け止める

 では、自分を出したがる子と自分を出せない子に対して、どうすれば「聴き合う力」をつけることができるのだろうか。
  勝沼先生はまず、1年生の最初の段階から、教師が子どもの言葉を丁寧に受け止め、認めてあげることが大切だという。そうすることで、子どもたちは学校を「安心できる場所」「自分たちの居場所」として感じられるようになるのだ。
  「聞いて聞いて」と求めてくる子どもたちは、入学当初、自分の欲求が通らなかったときに、全身でふてくされた態度をとることが多い。例えば、授業中、手を挙げたのに指名されないと、机に突っ伏して泣いたり、いすを蹴飛ばしたり……。
  けれども、子どもが発言したときに、「そういう考え方があるんだ」とか「○○君の意見は、今までほかの人が考えつかなかったものだよね」というように、教師が子どもの言葉に耳を傾け、存在を認める発言を繰り返すうちに、子どもは「先生は自分の言葉をちゃんと聞いてくれているんだ」という充足感を覚えるようになる。やがて授業中に指名されなくても、「今日は聞いてもらえなかったけど、今度聞いてもらえればいいや」という余裕も生まれてくる。
  一方、自分をうまく出せない子どもに対しては、ちょっとした行動に目を留めてほめてあげたり、あえて頼み事をして、「ありがとう。○○ちゃんのおかげで助かったよ」と言葉を掛けたりする。そうして子どもの自信を引き出していくことで、やがて少しずつ自分から表現ができるようになっていくという。
  聞いてもらえることに安心感を持った子どもは、「先生は私にどんなことを言うだろう」というように、話すことだけではなく、聞くことに対しても興味がわいてくる。こうして教師と一人ひとりの子どもの間に、「聴き合う」関係ができ上がるわけだ。

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写真2 1年生の授業風景。子ども同士で「聴き合う」、横の関係づくりを大切にしている

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