みんなで取り組む小学校英語

VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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リズムを楽しむ低学年
意味を求める高学年

  英語を聞く学習には、大きく分けて、「音を聴く」「音から意味を取り出す」という2種類があります。
  前者は低学年に向いています。小さな子どもは英語の音を聴くこと自体を楽しいと感じるからです。意外に思うかもしれませんが、低学年にはゆっくりとしたテンポで話すのではなく、本来のリズムを崩さない方がよいのです。一方、高学年になると、意味を求める気持ちが強くなりますから、教師は意味がわかるような話し方を心がけるべきです(図1)。
  話す英語は、低学年も高学年も同じでかまいません。学年ごとに表現を難しくするのではなく、同じ表現を使って質問の内容を高度にすればよいのです。例えば、色を尋ねる場合、低学年には何か見せて、その色を答えさせればよいのですが、同じ方法では成長するにつれて退屈してしまいます。中学年には「赤と青を混ぜたら何色か」、高学年には「あなたの今の気持ちを色で表したら何色か」など、質問の内容を変化させるとよいのです。
  大事なことは、日本語に置き換えたときに退屈になる授業をしないことです。同級生に「How old are you? 」などと、わかりきっている質問をしても、子どもは全く楽しくありません。こうした手法では、英語の技術を教えることはできても、コミュニケーション能力を育てることはできません。コミュニケーションとは、自発的に、意思や情報、気持ちを伝えることであり、単なる言葉の交換ではないからです。
  コミュニケーション中心の授業をすることで、子どもに「自分のことを伝えたい」「相手のことを知りたい」という欲求が生まれます。それは、コミュニケーションの土台である「人を好きになる」ことにもつながっていくのです。英語という言葉を使いこなす技術を教えるのは、中学校からでも遅くありません。

図1

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