データで読み解く新学習指導要領
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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◎小学校段階における外国語活動(仮称)

 新学習指導要領ではグローバル化の進展を背景に、小学校高学年で週1コマの外国語活動の実施が予定されている。中学校英語の前倒しではなく、あくまでも小学生の柔軟な適応力を生かし、英語の音声や基本的な表現に慣れ親しみ、積極的にコミュニケーションを図る態度の育成が重視される。

中教審「審議のまとめ」(抜粋・要約)07年11月時点
小学校段階における外国語活動の要点

目的、育成したい力・態度

  • 社会や経済のグローバル化への対応
  • 中学校・高等学校においてコミュニケーション能力を育成するための素地をつくる
  • ALTの活用等を通して積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成等を基本とする
  • 幅広い言語に関する能力や国際感覚の基盤を培う

指導の内容・方法

  • 英語でのコミュニケーション体験、音声面を中心とした活動など
  • 国として共通に指導する内容を示す。高学年において一定の授業時数(週1コマ相当) を確保。教科とは位置付けない
  • 指導者は、当面は学級担任中心、ALT等とのティーム・ティーチングを基本とする。国として共通教材を提供する

導入の手立て

  • 導入に当たっては、小学校と中学校とが緊密に連携を図ることが重要

■研究者のアドバイス(※)

吉田研作先生
上智大外国語学部教授、外国語学部長、
上智大国際言語情報研究所所長

コミュニカティブな英語力の育成に本気で取り組む時代となる

 すでにご存知のように、中教審の中間まとめでは、次の学習指導要領に向けて小学校では「外国語活動(仮称)」が新設され、小5・6で週1コマ実施することが示されています。音声面を中心に、中学校以降の英語教育につながる「一定の素地を育成」することが狙いとなっています。
  中学での英語教育の前倒しは「しない」とはしているものの、始めるのが小5だとどうしてもそうなってしまう可能性があります。前倒しにならないための対策を何かしら考えていかなければなりません。小学生の持っている特性が、週1回、小5から始める中でどこまで活かせるのか、どういうやり方が一番適しているのかという課題にも今後方向性を出していく必要があります。
  もうひとつ心配しているのが、今回の答申が出たことによって「英語活動は小5からやればよい」と受け取られてしまうことです。現在、英語活動を積極的に行っている小学校の多くは小1など低学年から始めています。今は、小1・2は特別活動の時間、小3・4は「総合的な学習の時間」を利用していることが多いのですが、今回、「総合的な学習の時間」が減らされることになっていますので、こうした学校ではかえって英語活動がしにくくなる可能性があります。
  今回、示されたのは、あくまでも最低ラインだという認識を持っていただきたいですね。これまでは各学校や教師に任されていた英語活動が、やっと公式にバックアップされるわけですから、自分たちのやってきたことは良かったのだと、自信を持って取り組んでいってほしいと思います。
※詳しくは特集ページをご覧ください。

●『VIEW21』小学版のバックナンバーもご参考に!
07年4月号「みんなで取り組む小学校英語」


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