教育現場の挑戦 「読解」の授業で育む、自分の考えを表現できる子

VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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読解力ですべての子に自信をつける

 「読解メソッド」の授業は子どもに好評だ。子どもに対して行ったアンケートでは、8割が読解メソッドの授業を「役に立っている」「楽しい」と答えた。
  「学習内容をほかの教科と関連付けているため、子どもたちはこの学習がいろいろな場面で役立つと認識しています。読解メソッドの学習は自分を高めると思っているようです」(藤本先生)
  伝えたいことがうまく表現できるようになったと感じている子も多い。
  「目的に応じた文章の型やわかりやすく話すための型を身につければ、どの子も自分の考えを表せるようになります。そこに、子どもによる差はありません。それまでは自分の考えをうまく書いたり言ったりできなくても、表現の型を学習することで『感想文が書けるようになった』『みんなの前で話せた』という体験ができます。この『できた!』という実感が、自信や自己効力感を育んでいくのです」と、村上校長は読解メソッドのもう1つの効果を挙げる。
  ただ、子どもが楽しみながら表現の型を学べるようにするためには、子どもが自身の体験や生活に引き付けて考えられるように、より身近な教材をつくっていくことが課題となる。
  「ポスターや新聞など、身近なものが教材となるので、子どもの関心に合わせてタイムリーなものを選んでいます。何でも教材となるので、適切なものを選び教材用に加工するのは大変ですが、子どもの反応を想像しながらつくっていくのは面白いですね」(藤本先生)
  御所南小学校では、「読解リテラシー部会」を月1回開き、教材研究や授業案を検討している。また、高倉小学校、御池中学校との合同部会も月1回開催し、情報交換に努める。読解メソッドの授業を始めてから「いろいろな情報を入手するために、より深く新聞を読むようになった」と話す教師も増えているという。
  子どもの生きる力につながるような読解力の育成を目指し、御所南小学校の挑戦は続く。

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