新学習指導要領へのアプローチ 第2回 学びが深まる「算数的活動」
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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ポイント3:スパイラル

既習事項の定着を把握し状況に合った手立てを

 先に私は、算数科は「具体から抽象へと向かう教科」であると言いましたが、もう一つ特徴があります。それは「系統性が高い教科」であるということです。
 各領域の中でも、とりわけ「数と計算」は系統性が高い領域です。4年生で学ぶ割り算の筆算を例にしましょう。実際に計算してみるとわかりますが、割り算の筆算では加減乗除のすべての知識・技能が必要となります。子どもが四則計算の学習のうちのどこかの段階でつまずいていたら、割り算の筆算もできなくなってしまいます。一つのつまずきが、次のつまずきを生むわけです。
 そこで、新しい学習指導要領で示されたのが、反復(スパイラル)の考え方です。新しい単元に入るときに、学習事項と関連する既習事項を振り返り、その習得を確認した上で、新しい学習に進むのです。新学習指導要領に沿った教科書は、おそらくスパイラルを意識したものとなるでしょう。
 ただし反復学習は、単に教科書に沿って、子どもに既習事項の復習をさせればよいというものではありません。クラスの子どもが既習事項のうちのどの部分でつまずいているのかを、まずは簡単なテストなどによって確かめる必要があります。「簡単な割り算の知識・理解が不十分な子ども」が多ければ、そこから始めなくてはならないし、「繰り下がりが弱い子ども」が多いことがわかれば、その部分を重視した手立てを講じなくてはなりません。
 そして、子どもの状況に応じて、15時間なら15時間の単元の学習計画を組み立て直す力量が、教師には求められます。基礎からみっちり学び直す必要があると判断したら、授業時間を3時間ほどプラスして18時間にしなくてはならないかもしれません。あるいは、既習事項の習得が不十分な子どもが一部であるのなら、補充や宿題などの個別対応でカバーできるかもしれません。始業前に朝学習の時間を使って、既習事項をしっかりと復習させるという手法もあります。
 そういう意味で、スパイラルを行うためには教師が子どもを把握する力、授業を組み立てる力が重要になるといえます。


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