低学年からの学びと指導 日々の指導で育む「書く力」
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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〈実践に見られる工夫(3)〉
「書いたもの」を通して子ども同士の交流を深める

 書いたものを通じて、子ども同士の交流を深める試みも取り入れた。
 2年生の菅野先生のクラスでは、国語科で学んだ「今週のニュース」をこの4月から続けている。月2回、朝の15分を使って、「みんなに知らせたいこと」をテーマに一人100字前後のニュースを書く。ニュースの内容は、家族との外出やペットのことなどさまざまだ。
 「ニュースには、普段見せない子どもの一面が表現されていることがよくあります。毎回、『この子はこんなことを考えていたのか』という新たな発見があります」(菅野先生)
 そして、時間内に友だちの書いたニュースと交換して読み合う。その後、廊下に面したドアに設けられた「今週のニュースコーナー」に貼って「休み時間に友だちのニュースを読もう」と声をかける。ニュースを読んだ子どもは、「お返事メモ」に感想を書き、友だちのニュースの下に貼っていく(下図参照)。

 図)朝の時間での指導例
朝の時間

 「『今週のニュース』を、子どもは休み時間に真剣に読んでいます。返事のやりとりは、普段から付き合いのある子ども同士で行うことが多いようですが、『返事が少ない子に書いてあげよう』と声をかけると、親しくない相手にもみんな返事を書きます。お返事メモは、子ども同士の新しいかかわりが生まれる機会にもなっているのです」(菅野先生)
 お返事メモの内容について、「この子のよいところをよく見ているね」と返事を書いた子に声かけをすれば、「もっと友だちのよいところを見つけよう」と、友だちからの学びの視野を広げることもできる。
 このように、読み手がいる場をうまくつくることは、子どもの書く喜びを刺激しながら、書く力を養うことにもなる。
 「書くことは、自分の考えを表現することです。先生だけでなく友だちからも感想をもらえると、『自分の気持ちが認められて嬉しい』と子どもは思い、次もまた書きたいと思うようになるのです」(菅野先生)
 書くことを通じて、自分の考えをまとめたり深めたり、人に伝えたりすると同時に、書かれたことを通じて友だちへの関心を広げていく。学級内で「友だちとかかわることは面白い」「友だちの意見をもっと聞きたい」という雰囲気が出てくると、どの子どもも授業に積極的に取り組むようになる。
 秋には、運動会などのさまざまな行事がある。子どもにとっては、たくさんの体験を通して書きたいことが自然と出てきやすい時期だ。絵と文を用いて、「書く面白さ」を味わわせながら、書く習慣づくりをしていく、よい機会となるだろう。

 図)昼の時間での指導例
給食の時間

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