BERD教育リポート メールマガジンバックナンバー

 「BERD教育情報通信」 バックナンバー 第2号(2005年9月27日発行)

※文中に記述された内容は当メールマガジン発行時のものです。

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■   ■   ◆BERD教育情報通信*第2号 2005/9/27発行◆
■   ■    ベネッセ教育研究開発センター メールマガジン
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■    ■ BERD=Benesse Educational Research & Development Center
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スポーツの秋、文化・芸術の秋…様々な学校行事の準備で多忙な日々を送られ
ている方も多いと思いますが、いかがお過ごしでしょうか?
これからの季節は、多くの行事を通して子どもたちのパワーや能力を再発見で
きる好機となる一方、受験生にとっては志望校の具体化や学習進度のペースア
ップなど、その名の通り「学びの秋」が本格到来ですね。
中山文相も留任が決定し、あとは10月中に発表予定の中教審答申に注目するば
かりです。

■ INDEX ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥・
  【1】教育研究開発センターからの新着情報&お知らせ【news】
  【2】教育レポート(1) 『毎日3時間以上テレビを見る中学生が3割』【report】
  【3】教育レポート(2) 『大学入試は負担増へ?個性重視のAO入試、新たに
             2006年度入試7大学で(前編)』【report】
  【4】今号のKey Word『高等学校卒業程度認定試験』【column】
  【*】編集後記
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  【1】教育研究開発センターからの新着情報&お知らせ
             http://benesse.jp/berd/
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★05年09月26日
  VIEW21[小学校版] 『小学校英語活動Vol.2「聞く力」をつけ、バイリンガルの基礎能力を育成する』 を掲載しました
 http://benesse.jp/berd/center/open/syo/view21web/syo_english/
2005/09/s_en09_report_01.shtml

★05年09月26日
  『ECF-幼児から成人まで一貫した英語教育のための枠組み』が発刊されました
  http://benesse.jp/berd/publications2/ecf/index.shtml

★05年09月20日
  VIEW21[小学版] [中学版]2005年9月号 特集:「考える力」を引き出す授業 
を掲載しました
  小学版
  http://benesse.jp/berd/center/open/syo/view21/2005/09/s09main.shtml
  中学版
  http://benesse.jp/berd/center/open/chu/view21/2005/09/c09main.shtml

★05年09月20日
  『小さな子どもとメディア 親と子のメディア研究会』 オープンしました
  http://benesse.jp/berd/media/index.shtml


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ベネッセ教育研究開発センターの調査研究報告書
    『第1回子ども生活実態基本調査報告書』<2005年8月刊>
        
小学4年生〜高校2年生15,000人を対象に「学習の様子」「日ごろの生活」
「友だち関係」など生活全般の意識・実態を調査・分析

【報告書】
B5版 176ページ 頒価 1,000円(消費税込み、送料は弊社負担)
 
 http://benesse.jp/berd/center/open/report/kodomoseikatu_data/
2005/index.shtml

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【2】BERD教育レポート(1) 『毎日3時間以上テレビを見る中学生が3割』
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「学力低下」が叫ばれるなか、子どもたちは家庭でどの程度勉強しているので
しょうか?勉強以外にどのようなことをして過ごしているのでしょうか?

――このほどベネッセ教育研究開発センターから発刊した
「第1回子ども生活実態基本調査報告書」から、その答えの一端をご報告しま
す。

◇テレビの視聴時間と学力に明らかな相関関係◇

全国の小学4年〜高校2年生の生徒15,000人を対象に実施した「第1回子ども生
活実態基本調査」(2005年)によると、中学生の家庭における平均学習時間(
平日)は60.5分でした。男女別に見ると、男子57.5分、女子63.7分で、女子の
方が若干長いようです。これは小学生や高校生にもあてはまります。
こうした「平均」時間もさることながら、今回注目したいのは、学習時間の
「分散(ばらつき)」が大きいという点です。

<中学生の家庭における学習時間 (塾や予備校での学習時間を除く平日)>
  ・「ほとんど勉強しない」…22.1%
  ・「15分+30分くらい」…19.7%
  ・「45分+1時間くらい」…25.7%
  ・「1時間30分くらい以上」…31.0%

これらを見ると、60.5分という平均学習時間はあくまでも「おしなべた」値で
あり、それぞれの回答は幅広い時間帯に分布していることがわかります。
また、「ほとんどしない」と「1時間30分以上」の合計で全体の5割を占めてい
ることから、家庭学習時間は二極化しているといえます。
この傾向は高校生になるとさらに強まり、「ほとんどしない」が29.7%、
「1時間30分以上」35.9%と格差が広がります。

では、「ほとんど勉強をしない」子どもたちは、何をしているのでしょうか。
部活や塾、習いごとなどはもちろん、学習時間とトレード・オフ関係にある最
たるものとして「テレビ・ビデオ(DVD)の視聴」が挙げられます。
テレビ・ビデオ・DVD(以下「テレビ等」とする)を毎日3時間以上見ている割
合は、小学生23.9%、中学生28.8%、高校生16.7%でした。とくに中学2年生は、
調査対象の8学年のなかでテレビ等を長時間視聴する割合がもっとも高く、平
日の家庭学習時間はもっとも短い、という結果が出ています。

視聴時間と成績の関係を見ると、中学生の場合、成績が下位の生徒ほど視聴時
間が「3時間以上」と回答した割合が多くなる傾向が見られます。テレビ等の
視聴時間が、毎日の学習時間や読書、家族とのコミュニケーションを図る時間
を削っているものと考えられます。


当センター(旧ベネッセ未来教育センター)が小中学生を対象に実施した「第
3回学習基本調査」(2002年)でも同様の調査を行なっていますが、やはりテ
レビの視聴時間が長いほど学力が低く、とくに国語での学力差が大きい、との
結果が出ています。2004年に発表されたOECDの「生徒の学習到達度調査(PISA)」
の結果から、国際的に見ても日本の生徒の読解力の低下が問題となっているこ
とを考えても、テレビを見る代わりに、より多くの書物に触れ、周囲とのコミ
ュニケーションを通じて互いの心情や意思を交換するといった機会を持つこと
が必要と思われます。


一方、調査時期が1991年と少し古いのですが、1都3県(兵庫県・香川県・宮崎
県)の中学生を対象に当社が行なった調査の結果(「モノグラフ・中学生の世
界」)を見ると、子どものテレビの視聴時間は、家庭の中でテレビがついてい
る長さに比例する傾向が見られます。
例えば、テレビの視聴時間が平均1.5時間以内の中学生のうち、夕食、入浴、就
寝の各時点において家庭内でテレビがついている割合は、いずれも30%強にと
どまっています。

しかし、平均視聴時間が4時間以上の子どもの家庭でテレビがついている割合は、
夕食時75.2%、入浴時66.9%、就寝時51.6%と明らかに高くなっています。
当然といえばその通りですが、テレビ漬けの生活を送る子どもを作りだしてい
るのは、家庭のテレビ環境ともいえるのではないでしょうか。

※ ベネッセ教育研究開発センターでは、教育環境の変化や子ども、保護者、
教育関係者などを対象とした意識・実態調査を実施し、その結果を冊子やホー
ムページ上で発信しています。本コーナーでご紹介した調査は下記URLからご
覧いただけます。


第1回子ども生活実態基本調査報告書
http://benesse.jp/berd/center/open/report/kodomoseikatu_data/
2005/index.shtml


第3回学習基本調査
http://www.crn.or.jp/LIBRARY/GAKUSHU/index.html

 

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【3】BERD教育レポート(2)『大学入試は負担増へ?
個性重視のAO入試、新たに2006年度入試7大学で』
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文部科学省は8月30日、2006年度の国公立大学の入試概要を発表しました。
調査書や面接などをもとに、受験生の個性を重視して判断するアドミッション・
オフィス入試(以下:AO入試)を導入する国公立大学は、岡山大学など新たに
7大学20学部が加わって45大学121学部となりました。
後期日程での募集を減らしてAO入試の枠を増やす傾向があります。
なぜこの1、2年、AO入試が国立大学入試で増えているのでしょうか。
その背景を探りたいと思います。


◇アドミッション・オフィス(AO)入試の増加◇


AO入試とは・・・受験生の個性や意欲を重視して書類や面接で選考する
アドミッション・オフィス(入学者審査事務室/Admissions Office、AO)の入
試。

2005年度入試の段階で38大学101学部だったAO入試選抜が、45大学121学部に増
えました。
全国公立大学・学部数154大学546学部に対して、AO入試を実施する大学は実に
3割近い29.2パーセントを占めます。
近年AO入試選抜が増えた国公立大学の多くは、後期日程での募集を減らしてAO
入試の枠を増やす考えが背景にあるようです。


一方、国公立大学の一次試験であるセンター試験で5教科7科目以上を課す大学
は、2005年度入試の105大学379学部から109大学402学部に増加し、大学、学部
とも実施率が7割を超えました。
入試選抜の段階で科目を減らした影響で、基礎的な教科学力が身に付いていな
いままでは入学後の教育についていけない、との懸念から科目を増やす傾向が
続いている模様です。
高校段階の各教科学力を入試選抜でしっかり見極める傾向が強まっているにも
かかわらず、一方ではAO入試も広がり、選抜方式はいっそう多様化する傾向に
あります。


◇AO入試って何?◇


では、とくに最近国立大学を中心に増加傾向にあるAO入試とは何でしょうか。
一般にAO入試とは、推薦入試の変形とみなされています。制度的には、高校の
学校長の推薦を必要としないという点では、公募推薦、自己推薦と明確には区
別されません。しかしアドミッション・オフィスは、学力よりも人物、特別に
秀でた能力、才能を見出すためのきめ細かい入試選抜制度といえます。

国立大学で最初にAO入試を採用したのは、九州大学、筑波大学、東北大学で、
1999年度に一般にアドミッションセンターと言われる組織を大学内に設立して
います。そして直後の2000年度の入試選抜から実施することになりました。

この3つの大学がAO選抜を導入した背景には、1997年6月の中央教育審議会の第
二次答申に「大学入学者選抜の改善」が掲げられ、その中でアドミッション・
オフィスの整備も謳われたことがきっかけです。そこには、「我が国において
も、こうした例(アメリカにおけるAO)を参考にしつつ、我が国の大学の特性
を踏まえた日本型のAOの在り方を検討し、その格段の整備を図ってゆくことが
望まれる。(※)」とあります。


※中央教育審議会 21世紀を展望した我が国の教育の在り方について(第二次
答申より)


この時点で大学側では、入試選抜を通して社会の変化に柔軟に対応できる個性
的・創造的な人材の育成が必要であると考え、人間性を兼ね備えた研究者の素
質・資質や専門領域の適性を、小論文や面接、書類審査などで見極め、学習意
欲などをより総合的で多面的に評価できる選抜試験が必要ではないか、との危
機感を持っていたようです。
こうした考えから、2000年には国立大学で初めてAO方式選抜がスタートし、冒
頭のようにAO入試を実施する大学が29.2%を占めるようになったのです。


◇国立大学で増加の背景を読み解く・・・次号にて詳細をご紹介◇

また一方で、近年のAO入試には国立大学の生き残りをかけた様々な思惑もある
模様です。
その詳細については、次号ご紹介したいと思います。


Benesse教育情報サイトでも、AO入試に関する記事やレポートをご覧いただけます
http://benesse.jp/berd/center/open/keyword/ao_nyusi.shtml

 

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【4】今号のKey Word『高等学校卒業程度認定試験』
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「高等学校卒業程度認定試験」は、さまざまな理由により高等学校を卒業でき
なかった人などの学習成果を適切に評価し、高等学校卒業と同程度以上の学力
があるかどうかの認定を行う試験です。「大学入学資格検定(大検)」の制度
が改善され、2005年度から同名称となりました。大学入学資格を得るという目
的が強かった大検に比べ、各種職業資格の受験資格や採用後の処遇の改善など、
より社会的な通用度を高めることを目的としています。全国47都道府県で年2
回実施され、試験に合格すると国・公・私立の大学、短大、専門学校を受験す
ることができます。また、各種試験資格や企業の採用試験でも高等学校卒業と
同程度の学力があるものとして認定され、就職、資格、試験などに活用できま
す。


大検と違い、「高等学校卒業程度認定試験」は全日制高等学校に在籍している
場合でも、受験が可能です。全日制高校に在学しているが不登校などで学校へ
行っていない人でも、退学せずに試験を受けられます。大検の場合は、
全日制高等学校に在籍していると、たとえ休学中でも受検できませんでした。

大検はもともと、経済的な理由などで高校に進学できなかった人に大学入学資
格を付与することを目的として1951年に発足しました。2005年度からは高等学
校卒業程度認定試験へと、時代の流れに沿った体制で実施されることになった
のです。

さらに2006年度からは、「NPO法人統一学力テスト」が導入される見通しです。
これは私立大・短大の無試験推薦入試等の合格者に対するテストです。
こうした高校卒業程度の学力を計測する試験は、大学・短大の全入時代突入が
間近な問題となってきた今、今後の大学入試選抜制度に大きな意味を持ちそう
です。


05年度高等学校卒業程度認定試験 第1回の実施結果およびこれまでの受験者数
の推移(文部科学省HP)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/17/09/05090203.htm

 

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【編集後記】
アスベスト(石綿)被害が社会問題化していますが、全国紙の調査結果による
と、44道府県、1,597の公立校の校舎や体育館などでアスベストが使用されて
いるか、その疑いがあるそうです。アスベストはその繊維が空気中に浮遊した
状態にあると危険で、通常の使用状態では室内に繊維が飛散する可能性は低い
そうですが、やはり不安です。子どもたちの健康のためにも、早急かつ確実な
対応を望まずにはいられません。
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