BERD教育リポート メールマガジンバックナンバー

 「BERD教育情報通信」 バックナンバー 第3号(2005年10月12日発行)

※文中に記述された内容は当メールマガジン発行時のものです。

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■   ■   ◆BERD教育情報通信*第3号 2005/10/12発行◆
■   ■    ベネッセ教育研究開発センター メールマガジン
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■    ■
■    ■ BERD=Benesse Educational Research & Development Center
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こんにちは。BERD教育情報通信第3号をお届けします。
10月に入って学校の制服も衣替えし、通勤・通学時の風景も心なしか新鮮に映
ります。BERDメールマガジン編集部は東京・千代田区の書籍街で有名な神保町
にあるのですが、そこで今年初の赤蜻蛉を見かけました。すっかり秋ですね。


■ INDEX ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥・
  【1】教育研究開発センターからの新着情報&お知らせ【news】
  【2】教育レポート(1) 『幼児の教育費、平均月額は8,771円で増加傾向』
                                       【report】
  【3】教育レポート(2) 『大学入試は負担増へ?個性重視のAO入試、新たに
             2006年度入試7大学で(後編)』【report】
  【4】統計・調査データより『コレは何の数字でしょう?』【column】
  【*】編集後記
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  【1】教育研究開発センターからの新着情報&お知らせ
             http://benesse.jp/berd/
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★05年10月06日
  『第3回幼児の生活アンケート・国内調査(速報版)』が発刊されます
  http://benesse.jp/berd/data/index.shtml#youji3

★05年09月29日
  情報誌 BERD 2005年第2号 特集『検証:日本の義務教育のコンピタンス
とは?』を掲載しました
  http://benesse.jp/berd/center/open/berd/index.html

★05年09月26日
  VIEW21[小学校版] 『小学校英語活動Vol.2 「聞く力」をつけ、バイリン
ガルの基礎能力を育成する』 を掲載しました
  http://benesse.jp/berd/center/open/syo/view21web/syo_english/
2005/09/s_en09_report_01.shtml

★05年09月26日
  『ECF-幼児から成人まで一貫した英語教育のための枠組み』が発刊されました
  http://benesse.jp/berd/publications2/ecf/index.shtml

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10/5の発表以降、TV・新聞等多数のメディアで採り上げられました!

ベネッセ教育研究開発センターの調査研究報告書
    『第3回幼児の生活アンケート・国内調査』<2005年10月刊>

乳幼児の生活実態および子育てや教育などに関する母親の意識、父親のかかわり、
子育て支援の状況等を調査・分析。1995年、2000年調査との経年比較が可能です。

【報告書】
速報版をホームページ上でご覧いただけます。
  http://benesse.jp/berd/data/index.shtml#youji3
※ 詳細報告書は2005年12月に発刊予定
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【2】BERD教育レポート(1) 『幼児の教育費、平均月額は8,771円で増加傾向』
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このほどベネッセ教育研究開発センターが発表した「第3回幼児の生活アンケー
ト・国内調査」の結果によると、乳幼児1人あたりの平均教育費は月額8,771円で、
5年前(2000年)の前回調査と比較して約1,400円増加していることが明らかにな
りました。

※ 「教育費」とは塾や通信教育、習い事、絵本、玩具などにかける費用を指
します。

同調査は、首都圏に住む0歳6か月〜6歳就学前の乳幼児をもつ保護者(主には母
親)約3,000名を対象に2005年3月に実施したもので、同様の調査を1995年と
2000年にも実施しており、経年で比較すると以下の通りとなりました。

 

・1995年 8,556円
・2000年 7,323円
・2005年 8,771円(男子7,739円、女子8,355円)

 

2000年は景気の影響(1997年 金融機関の大型倒産始まる)を受けたためか、
1995年と比較して教育費を抑える傾向が見られましたが、2005年は10年前の水
準に戻っていることがわかります。

教育費の構成要素として大きなウェイトを占めるのは「習い事」ですが、この
5年間でもっとも増えている幼児の習い事は何かご存知でしょうか?

 

――答えは「英会話などの語学教室」です。


2000年の調査では全体の5.0%に留まっていたのが、今回の調査では14.2%と、
1位の「通信教材」(18.8%)、2位の「スイミング」(17.5%)に次ぐ人気ぶ
りです。

5歳児と6歳児に限ってみると、実に全体の2割以上が英会話教室に通っている
ことがわかりました。

小学校では、「総合的な学習の時間」で英語に触れる機会を設けているところ
も多く、今後は何らかの形で英語学習の導入も検討されています。また文部科

学省では、小学校の英語活動における指導方法の改善・向上などを支援する

実験的な試み「小学校英語活動地域サポート事業」を今年度から開始しました。

今年の7月に全国83地域のなかから30地域を採択し、所要経費などの取り組

み支援を行うなど、行政の取り組みも活発化しています。
「英語を少しでも使えるようになって欲しい」「できればこれからの国際社会
で困らないように」という子どもへの思いは、多くの親にとっても共通の願い。
そうであれば少しでも早い時期から、という傾向が強まりつつあるようです。
幼少期からの「英語熱」は当分続きそうです。


※ ベネッセ教育研究開発センターでは、教育環境の変化や子ども、保護者、

教育関係者などを対象とした意識・実態調査を実施し、その結果を冊子やホ
ームページ上で発信しています。
本コーナーでご紹介した調査は下記URLからご覧いただけます。


第3回幼児の生活アンケート・国内調査
  http://benesse.jp/berd/data/index.shtml#youji3

参考資料「教育発見隊『習いごとについて)』アンケート集計結果」
  http://benesse.jp/enquete/050907_2.html


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【3】BERD教育レポート(2)『大学入試は負担増へ?
個性重視のAO入試、新たに2006年度入試7大学で』 (後編)
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前号では、アドミッション・オフィス入試(以下:AO入試)の概要や、2006年
度にAO入試を導入する国公立大学が45大学121学部にのぼることなどをご紹介
しました。
今回はその続編として、ここ1、2年で増加傾向にあるAO入試をめぐり、国立大
学が置かれている状況やその背景・思惑についてお話ししたいと思います。

◇国立大学で増加の背景を読み解く◇

近年のAO入試には、国立大学の生き残りをかけた様々な思惑があるようです。
現在、国立大学では推薦やAO入試のほかに、一般入試では分離分割方式により、
前期入試(2月)と後期入試(3月)さらに公立大学では中期入試(3月上旬)が
日程別に実施されています。そこでは、前期、後期で異なる学力要件を課して、
幅広く多様な能力、資質を持つ学生を確保するという狙いから、いわゆる異な
る尺度による選抜が実施されています。

しかし多くの国立大学では、現実には以下のような課題認識を持っているよう
です。


(1)前期試験で不合格になった受験生の多くが後期試験を受験しているため、前
期と後期別の入学後の資質、学力の伸びについて格差や変化は殆んど見られなく
なっている


(2)3月の限られた日程で多数の教科・科目の出題採点を一つのミスなく行うこ
とは、教職員の負担や問題の質を確保する点から限界に近い


(3)データ数は少ないものの、AO入試での入学者は、一般入試選抜で入学してき
た学生よりも、高い学習意識を持ち、大学入学後の学習量も多い(九州大・東北
大学の追跡調査報告より)


以上の点から国立大学では、後期日程試験の学力検査を廃止してもよいのでは
ないか、という考え方が出てきているようです。

じつは、2003年度の国立大学協会(旧:国大協)では、2006年度入試の前期、
後期選抜のありかたについて決議しています。その際、以下に示すように分離
分割方式の弾力的な対応が合意されました。それは以下のような取り決めです。
「分離分割方式を維持しつつ弾力化を図り、原則学部単位での募集とする(募
集単位は原則学科単位ごとにはしない)。分割比率の少ない日程(主に後期日
程など)の募集人員に、推薦入学、AO入試などを含めることも可能とする」な
どとしたのです。


◇後期入試の廃止も視野に◇


以上の文脈で考えると、近年AO入試を開始した国立大学のいくつかは、後期入
試選抜の廃場合は、その募集定員分は新設となったAO入試枠において前倒しで
確保する、という構想です。
各大学でそのAO入試の実施が加速されるのが、現高校1年生が受験する2008年度
入試といわれています。
さらに、3月に実施されていた後期入試のありかたに大きな変化が生まれるのは、
中学3年生が受験する2009年度以降になるだろうと思われます。
国公立大学を中心とした入試改革は、この数年の間に大きく様変わりすること
を頭にいれておく必要がありそうです。

Benesse教育情報サイトでも、AO入試に関する記事やレポートをご覧いただけ
ます。

 

 http://benesse.jp/berd/center/open/keyword/ao_nyusi.shtml

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【4】統計・調査データより【コレは何の数字でしょう?】
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◇◆ このコーナーについて ━━━━━━━━━━━━━━━…‥・
はじめに、教育に関連する或る数字(データ)を示します。
その数字が何を表しているのか、ヒントを参考に考えてみてください。
…‥・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆◇


◆今回は…◆
【3年連続減少で123,317人 】


◆HINT◆
*国・公・私立の小・中学校における、○○の人数
*高校では67,500人で、中途退学のきっかけにもなるようです。

…‥・…‥・…‥・…‥・…‥・…‥・…‥・…‥・…‥・…‥・…‥・


◆ANSWER◆
【不登校児童生徒の数(国・公・私立の小・中学校;2004年度の速報値)】

不登校やいじめ、暴力行為などのいわゆる「問題行動」の動向に関して、文部
科学省はこのほど2004年度の概況を発表しました。それによると、「問題行動」
の発生件数は全体的に前年度と比較して減少しているようです。このうち、例
として不登校を見ると以下の通りとなっています。


  不登校児童生徒の人数:123,317人
 (前年度126,226人、在籍児童生徒数に占める割合は1.14%)
  -小学校 23,310人 (前年度24,077人、在籍児童生徒数の309人に1人)
  -中学校100,007人 (前年度102,149人、同37人に1人)


2002、2003年度に続き、3年連続の減少です。
ただし、手放しで喜ぶのは尚早でしょう。絶対数は減少しても、全児童生徒数
に占める割合の推移をみると、事態は改善していると言いきれないからです。
たしかに、小学校の場合は3年前の280人に1人から、現在は309人に1人へと改
善傾向が見られます。しかし中学校では、37人に1人が不登校、という状況が
この3年間変わっておらず、過去最悪の水準を保ったままです。しかも、統計
にあらわれる値は氷山の一角に過ぎず、実態はより深刻であろうことは読者の
皆様もご存知の通りです。

文部科学省のまとめでは、不登校児童生徒のうち26.4%は、年度内に登校する
(できるようになっており、そのきっかけは「家庭訪問を行い、学業や生活面
での相談に乗るなど様々な指導・援助を行った」「登校を促すため、電話をか
けたり迎えに行くなどした」など、先生方の地道な努力が実を結んだケースが
多いようです。

一方、高校の不登校生徒のうち21.1%が中学校時に長期欠席の経験があるそう
です。

高校の不登校生徒の36.6%が中途退学に至ることを考えても、心身が成長途上
で不安定な中学の時期に、いかに周囲がサポートし、かつ子ども自身がそれら
を乗り切る心の強さを身につけるか、まだまだ課題は山積しています。


※ ここでの「不登校」とは、何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社
会的要因背景により、児童生徒が登校しないあるいはしたくともできない状況
が30日以上続いていること(病気や経済的な理由によるものを除く)を指しま
す。


※ 不登校問題に取り組む中学校の事例をご紹介しています。是非ご参照ください。

   http://benesse.jp/berd/center/open/chu/view21/2005/01/c01toku_12.html

※ 2004年度 生徒指導上の諸問題の現状について(文部科学省ホームページ)
   http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/17/09/05092704.htm

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 【編集後記】
「ITの活用で児童の安全情報を送信する仕組み、私立小学校を中心に導入進
 む」という記事を読みました。
 道で会う人はすべて疑え、という声もよく聞く今日、安全はカネでしか買え
 ない時代になったとすれば、やはり残念です。ただ、最新技術が世に出れば、
 それを上回る「悪知恵」が登場するのは常。子どもをIT武装させたからもう
 安心、という安易な思い込みだけは避けたいものです。
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