BERD教育リポート メールマガジンバックナンバー

 「BERD教育情報通信」 バックナンバー 第4号(2005年10月25日発行)

※文中に記述された内容は当メールマガジン発行時のものです。

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■   ■   ◆BERD教育情報通信*第4号 2005/10/25発行◆
■   ■    ベネッセ教育研究開発センター メールマガジン
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■    ■
■    ■ BERD=Benesse Educational Research & Development Center
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こんにちは。BERD教育情報通信第4号をお届けします。
今回は、特集をメインにお送りします。テーマは「日本の義務教育のゆくえ」。
義務教育費国庫負担金をめぐる中央教育審議会の動きはもちろんのこと、未来
を見据えた、より長期的な視点に立って教育改革の今後を考えてみたいと思い
ます。

ここでお知らせがあります。これまでのバックナンバーをホームページ上でも
ご覧いただけるようになりました。途中からご登録くださった方や、以前のメ
ールを削除してしまった方はぜひアクセスしてみてください!↓↓


  http://benesse.jp/berd/magazine/index.html


■ INDEX ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥・
  【1】教育研究開発センターからの新着情報&お知らせ【news】
  【2】《特集》日本の義務教育のゆくえ;
    中央教育審議会 義務教育特別部会での審議報告から【report】
  【3】コレは何の数字でしょう?【column】
  【*】編集後記
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  【1】教育研究開発センターからの新着情報&お知らせ
       http://benesse.jp/berd/
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★05年10月21日
  本メールマガジン『BERD教育情報通信』のバックナンバーを掲載しました
  http://benesse.jp/berd/magazine/index.html

★05年10月18日
  大学まるごと調査『第2回 AO入試合格者への入学前後教育の現状〜AO入試
  合格者に対するフォロー教育の現状と今後の方向性〜』を掲載しました
  http://benesse.jp/berd/research/index.shtml#050

★05年10月14日
  大学まるごと調査『第1回 管理栄養士に迫る〜今後の就職先の広がりと栄
  養士との違い〜』を掲載しました
  http://benesse.jp/berd/research/index.shtml#050

★05年10月06日
  『第3回幼児の生活アンケート・国内調査(速報版)』発刊
  http://benesse.jp/berd/data/index.shtml#youji3


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速報版をホームページ上でご覧いただけます!
  http://benesse.jp/berd/data/index.shtml#youji3

  『第3回幼児の生活アンケート・国内調査』<2005年10月刊>
    〜ベネッセ教育研究開発センターの調査研究報告書より〜

乳幼児の生活実態および子育てや教育などに関する母親の意識、父親のかかわり、
子育て支援の状況等を調査・分析。1995年、2000年調査との経年比較が可能です。

※ 詳細報告書は2005年12月に発刊予定
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  【2】《特集》日本の義務教育のゆくえ;
      中央教育審議会 義務教育特別部会での審議報告から
      第1回 審議紛糾の背景〜財源論の視点〜
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これからの日本の義務教育のありかたを審議してきた中央教育審議会・義務教
育特別部会が10月18日、区切りを迎えました。2005年2月28日以来41回もの審議
を重ね、「新しい時代の義務教育を創造する」と題した特別部会の「答申案」
を提示する段階に至っています。

そこで、今回から3回にわたり、義務教育特別部会での審議報告をご紹介しなが
ら、日本の義務教育のゆくえについて考えていきたいと思います。


◆===== 特集の構成 ============================================◆

  第1回(今回) 
       審議紛糾の背景〜財源論の視点
   第2回(次号:11月上旬配信予定)
       未来に向けて、義務教育改革の方向性(前編・仮題)
   第3回(次々号:11月下旬配信予定)
       未来に向けて、義務教育改革の方向性(後編・仮題)

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◇「2分の1」攻防戦◇


すでに新聞報道にあるように、中央教育審議会の義務教育特別部会では、国と地
方の税財政改革「三位一体の改革」で税源移譲の対象に挙げられている「義務教
育費国庫負担制度」のあり方を巡って、審議の時間を多く割いてきました。
中央教育審議会(以下:中教審)では、現行のとおり国が義務教育の「2分の1」の
負担をすべきだとして、これを明記しています。

中教審は文部科学相の諮問機関ですが、その答申案は「全会一致」での了承が
慣例でした。10月18日の義務教育特別部会(第41回)で、公立小中学校の教職
員給与の半分を国が持つ「義務教育費国庫負担金」のあり方を検討し、同負担金
の「堅持」を求める答申案を異例の「多数決」で決定したのです。多数決は「2001
年の省庁再編で新しい中教審が誕生して以来初めて」(文部科学省)だったようです。


◇義務教育問題における、地方分権の「陰」◇


なぜ、これほどまでに紛糾したのでしょうか。
ここでは、政策的な観点から検証する必要があります。すこし論点整理をしてみた
いと思います。
公立の小・中学校については、昭和30年代には、学力の地域間格差がありました。
現在では、学力面で全国的な機会均等、水準確保が図られています。
今回の議論のように、義務教育国庫負担金が一般財源化されると、個人住民税に
より税源を移譲した場合、税収の多い東京、大阪などを除く40道府県で、現在の国
庫負担金による配分額より税源移譲額が下回ることが推計されています(義務教
育特別部会資料より)。

各県の財源不足を埋めるには地方交付税の増額が必要ですが、地方交付税は毎
年減額しているのが実状で、財源不足を補うことはなかなかできない模様です。
実際に、過去に一般財源化された教材費は、地方の借金の増加に伴い各県での
予算措置が減少しています。同様に、義務教育国庫負担金の一般財源化で教職
員配置も各県の財政状況の影響を受けやすくなるおそれがあるのです。

こうした観点から、特別部会に参加した有識者たちの大半が、地域の財政力格差
や教育力格差が生まれ、教育の質の保証ができなくなると考えています。つまり、
地方六団体が主張する地方分権(地方に財源を移譲する)の意見と真二つに分か
れることになったのです。


◇答申の意味と意義が問われる◇


負担金を巡っては、2004年の政府・与党合意で8500億円の暫定的な削減が決ま
っていました。地方六団体は、同負担金のうち中学校分8500億円と公立学校施
設整備費負担金を廃止し、地方に税源移譲することを求めています。

答申は、10月内にも文科相に提出される予定です。中教審で可決した答申が、
政府によって覆されるといった異例な事態も予測されていますが、8か月もの審
議の時間を費やした今回の中教審・義務教育特別部会の答申の意味が逆に問われ
ることになりかねません。

次回は、「財源論」でゆれた義務教育特別部会のなかで、いくつか出てきた未来
の義務教育の改革の方向性、つまり「教育改革」のゆくえについて、触れてみた
いと思います。
(次号へ続く)


*関連記事:「義務教育に関する意識調査」(文部科学省からの委嘱調査)
  ・保護者と教員との意識のギャップについて(VIEW21中学版 2005年9月号)
   http://benesse.jp/berd/center/open/chu/view21/2005/09/
c02data_01.shtml

 ・調査報告書本文はこちら↓
   http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/17/06/05061901.htm

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  【3】コレは何の数字でしょう?
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******このコーナーについて******************************************
まず冒頭で或る数字(データ)を示します。これは、教育に関連する諸調査の
結果を一部抜粋したものです。その数字が何を表しているのかを、ヒントを参
考にしつつ考えてみてください。答えは下にあります。
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今回は:【子どもに“ここまでは”と期待している母親は、3人に2人】
HINT:2007年度に全入時代が到来!従来予想より2年前倒しです

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ANSWER:進学期待
〜子どもに「大学卒業」の学歴を望む母親の割合は3人に2人

ベネッセ教育研究開発センターがこのほど発刊した「第3回幼児の生活アンケート」
によると、首都圏の0歳6か月〜6歳就学前の乳幼児をもつ母親の3人に2人が、子ど
もに四年制大学への進学を期待していることがわかりました。

「子どもをどの程度まで進学させたいか」という質問に対して、「大学卒業まで」
教育を受けさせたいとする母親が全体の64.5%を占めました。これに「短大卒業ま
で」(10.3%)、「大学院卒業まで」(2.5%)を合わせると、合計で77.3%の母
親が子どもに高等教育を受けさせたいとしています。


<子どもの進学に対する期待>
 ___________全体___  __男子__  __女子__
・大学院卒業まで  2.5%(▲0.3)    3.2%    1.6%
・大学卒業まで  64.5%( 2.7)   76.5%   52.0%
・短期大学まで  10.3%(▲0.2)    0.3%   20.7%
・専門学校卒業まで 7.1%(▲1.2)    5.1%    9.4%
・高校まで    13.4%(▲1.1)   12.9%   14.2%
・中学校まで    0.2%( 0.1)    0.3%    0.3%


※ カッコ内は2000年調査との差(ポイント)
※ 経年比較のため、「全体」の値は0歳6か月〜1歳5か月までの乳幼児をもつ
母親の回答を含まない


*「第3回幼児の生活アンケート(速報版)」
データをグラフや表形式でご覧いただけます↓
http://benesse.jp/berd/data/index.shtml#youji3

◇高学歴への期待は男の子>女の子◇

子どもの性別でみると、「中学校卒業まで」「高校卒業まで」と考える母親は、
男女ともにおよそ15%以下でした。しかし「大学卒業まで」「大学院卒業まで」
を希望する割合は、男の子は79.7%と8割近くに達するのに比べて、女の子の場
合は53.6%にとどまっています。高等教育への期待は男女とも高いものの、特に
大学進学への期待は、明らかに男の子が女の子を上回っていることがわかります。

ここで興味深い結果がみられました。
大学・大学院への進学期待を10年間の経年変化でみてみると、男の子と女の子
の差はほとんど変化がなく、常に男の子が女の子を25〜27ポイントほど上回っ
ています。

<性差と経年比較でみる進学期待>

______1995年_____2000年_____2005年____
・ 男  85.5%    77.0%    79.8%
・ 女  58.0%    51.6%    53.7%
_____________________________
★男女差 27.5     25.4     26.1


※ 「大学卒業まで」「大学院卒業まで」の合計

一方、今回の調査では、母親の学歴が高いほど子どもへの進学期待も高まるこ
とがわかっています。
1980年代前半からの約20年間は、女性の大学等高等教育機関への進学率が伸び
た時期です。文部科学省の「学校基本調査」によると、例えば1970年代後半か
ら32〜33%台で推移していた女性の進学率は、1992年には40%を超え、さらに
1999年に49.6%と、20年間で約20ポイントも増加しています(2005年3月時点で
は51.5%)。

母親の高学歴化が進んではいますが、大学の進学率の高まりほどは、女の子の
学歴への期待度はあまり上がっていません。
少し考えさせられるデータです。

*5年前(2000年)の調査結果「第2回幼児の生活アンケート報告書」はこちら
でご覧いただけます↓


   http://benesse.jp/berd/data/index.shtml#youji2


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【編集後記】
今回は特集として中教審の動向をレポートしましたが、いかがでしたでしょうか?
編集部内でも、ここ数週間の毎朝の話題は、決まって“まるちゅう(=中教審を
指す部内用語)”。それだけになおさら、共感された点、異論・反論等々、皆様
の忌たんのないご意見・ご感想を伺いたいと思っています。匿名性を保持したう
えで、次号以降ご紹介させていただきます。お待ちしています(本メールに「返
信」する形式で結構です)。
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