BERD教育リポート メールマガジンバックナンバー

 「BERD教育情報通信」 バックナンバー 第5号(2005年11月10日発行)

※文中に記述された内容は当メールマガジン発行時のものです。

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■   ■   ◆BERD教育情報通信*第5号 2005/11/10発行◆
■   ■    ベネッセ教育研究開発センター メールマガジン
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■    ■
■    ■ BERD=Benesse Educational Research & Development Center
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こんにちは。BERD教育情報通信第5号をお届けします。前回に引き続き、
特集「日本の義務教育のゆくえ」をメインにお送りします。マスコミ報道では
義務教育費国庫負担金問題の陰に隠れてなかなか報道されない「教育の質」に
関する諸課題について、中教審での審議報告を中心にお届けします。


■ INDEX ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥・
  【1】ベネッセ教育研究開発センターからの新着情報&お知らせ【news】
  【2】《特集》日本の義務教育のゆくえ;
    中央教育審議会 義務教育特別部会での審議報告から【report】
  【3】今号のKey Word「大学入試センター試験」【column】
  【*】編集後記
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  【1】ベネッセ教育研究開発センターからの新着情報&お知らせ
            http://benesse.jp/berd/
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★05年11月08日
  本メールマガジンのバックナンバー第4号を掲載しました
  http://benesse.jp/berd/magazine/index.html#bn

★05年11月7日
  Between2005年8,9月号 特集:「地域」という教科書 を掲載しました
 http://benesse.jp/berd/center/open/dai/between/ 2005/0809/
0809main.shtml

★05年11月01日
  VIEW21[高校版]2005年10月号 特集:入試改革を読み解く を掲載しました
 http://benesse.jp/berd/center/open/kou/view21/2005/10/
10main.shtml

★05年10月31日
  小さな子どもとメディア「最新!メディア研究ニュース」に
  『研究会メンバーによる座談会』を掲載しました
  http://benesse.jp/berd/media/medianews/page02.shtml

★05年10月26日
  VIEW21[小学校版]『小学校英語活動Vol.3 市教委のリーダーシップで全市
  をあげて取り組む英語教育』 を掲載しました
  http://benesse.jp/berd/center/open/syo/view21web/syo_english/
2005/10/s_en10_report_01.shtml


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11月25日発刊決定!

  『中学校の学習指導に関する実態調査報告書 2005』
    〜ベネッセ教育研究開発センターの調査研究報告書より〜

中学校の教務主任・理科教員・社会教員を対象に、学習指導に関する実態
(理科調査・社会調査)および学校での取り組みを調査・分析

※ 無料
※ お申込方法:郵便番号、住所、氏名、電話番号をご記入いただいたFAXを
   下記までお送りください
   FAX:×××-××××(ベネッセ教育研究開発センター教育調査室)
※ 11月25日以降、ベネッセ教育研究開発センターのHPでもご覧いただけます
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  【2】《特集》日本の義務教育のゆくえ;
      中央教育審議会 義務教育特別部会での審議報告から
      第2回 未来に向けて、義務教育の方向性(前編)
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前回は、中央教育審議会における義務教育特別部会の審議経過について、主
に財源論の観点から、つまり「義務教育国庫負担金」の現行制度堅持の決議
に至るまでをレポートしました。今回は、今後の義務教育の方向性について
考えていきたいと思います。

※ 文部科学省・中教審答申の概要(PDF)↓
   http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/
05102602.pdf


◆===== 特集の構成 ============================================◆

  第1回(前号:10月25日発行済み)
       審議紛糾の背景〜財源論の視点
      http://benesse.jp/berd/magazine/index.html#bn
  ☆第2回(今回)
       未来に向けて、義務教育改革の方向性(前編)
       〜学校はどう変わる
   第3回(次号:11月下旬配信予定)
       未来に向けて、義務教育改革の方向性(後編・仮題)
       〜文部科学省にきく
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◇義務教育9か年でどう学ぶか、問い直される英語教育◇


義務教育特別部会では「これからの義務教育のありかた」について、時間を
かけて審議しています。
注目される検討施策の一つが「小学校段階の英語教育の充実」です。
この小学英語は、現在、「総合的な学習の時間」における国際理解活動の一
環という位置づけで、主に英会話活動として実践されています。
実際には、小学校段階では年間10時間程度(平均)が授業実施されています。

果たしてこれだけの時間だけで英語の下地作りになっているのか、中学英語
との接続をどう考えていくべきか、そして誰が小学校段階での英語教育を担
うのか、教材は何を使うべきか・・・など、基盤整備に関わるさまざまな課
題があります。


例えば、英語を小学4年生から正規の授業として実施する場合、教師の配置、
教科書の有無など、予算の伴う大きな変更が必要となってきます。
一方で現状のままでも、総合的な学習の時間を使った楽しい英語から、中学
段階で座学としての『英語』を学ぶなかで、苦手意識がより顕在化する可能
性もあります。

現在、同じ中教審のなかにある「外国語部会」で具体的な環境整備に関して
審議中ですが、9か年の義務教育段階で英語をどう学ばせるのか、その設計図
がまさに求められています。

※ 中教審の構成図(各分科会・部会)はこちら↓
   /berd/magazine/hosoku/m5_051109.html


◇学校の教育活動を検証する動き◇


「総合的な学習の時間」を今後どう改善すべきか、という点も特別部会で議
論されました。
総合的な学習の時間は、実際に学校によっては成果を上げている一方で、小
・中学校間の意識や取組み実態の格差が激しい、といった課題が指摘されて
います。また、学力のうち思考力、知的好奇心、自分で考える力などを育成
し、意見発表などの表現力の育成を重視することにより、学ぶ意欲や、国語
・英語などの授業にいい効果が表れている・・・などの発言もありました。

「学校教育の結果検証」のあり方も今回審議された点です。
学校の取組みに対して、その成果と課題を明確化しようとするものですが、
これには、全国的な学力調査、学校評価システムの導入が挙げられています。
これはイギリスの1980年代の教育改革などを参考にしている施策です。イギ
リスでは、1988年からナショナルカリキュラムの導入とともに「全国共通学
力テスト」が導入された経緯があります。
テストの結果は学校別に公表され、マスコミによる「学校ランキング」が学
校を選択する際の判断材料のひとつになっています。
さらに、公的な評価機関として有名な「ofsted 」と呼ばれる教育水準局が
設置され、すべての学校が定期的な監査を受ける仕組みになっています。

※ イギリスの「ofsted」HP↓
   http://www.ofsted.gov.uk/


イギリスでは、この結果許容水準に達していない学校に対して「特別措置宣
告」を出し、2年以内に改善が見込まれない場合、閉校または「学校名」や
「所属する先生」を入れ替えて「再スタート」することを盛り込んだ厳しい
措置をとっています。
学校教育の評価システムが、今後日本の義務教育にどのような形で導入され
るのかが注目されます。文部科学省は、2005年度中にその学校評価の「ガイ
ドライン」を作成する予定です。

このほか、「国語力の育成、理数教育等の改善充実の方策」や「学校週5日
制」などの教育内容に関する点も議論が交わされました。具体的な施策とな
るには、もう少し中教審の各部会の議論を経てからになります。

次回(後編)は、今回とは異なる観点から義務教育改革の方向性について再
度考察したいと思います。文部科学省へのインタビュー内容も掲載予定です。
(次号へ続く)


*関連記事:「義務教育に関する意識調査」報告書↓
   http://benesse.jp/berd/center/open/chu/view21/2005/09/
c02data_01.shtml

*本特集のバックナンバー(第1回:審議紛糾の背景〜財源論の視点)↓
   http://benesse.jp/berd/magazine/index.html#bn


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  【3】今号のKey Word 「大学入試センター試験」
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2006年度からの「新課程入試」がいよいよ本格的に動き出しました。
まずセンター入試の現在までの経緯を簡単に辿ってみましょう。
大学入試センター試験の前身「共通第1次学力試験」が導入されたのは1979年
のことです。さらにそれ以前は、国公立の各大学が独自に入試を行なっていま
した。

当時の進学率は現在と比較してとても低く、たとえば1975年の短大・大学進学
率は38%、さらに遡り1955年にいたってはわずか10%でした。現在の進学率
(浪人含む)は51.5%と初めて5割を超え、過去最高を記録しています(文部
科学省「平成17年度学校基本調査速報」より)。
共通第1次学力試験の導入によって、それまで困難だった高校での学力を広く
適正に測ることが可能になった反面、原則として5教科を一律に課したことから
大学の序列化が問題視されるようになりました。

そこで、よりよい選抜試験のあり方をめぐって臨時教育審議会等で検討を重ね
ることになり、1990年度入試から導入されたのが「大学入試センター試験」で
す。
教科・科目、配点を自由に定められる方式(ア・ラ・カルト方式)を採用し、
基本設計を変えることなく今日に至っています。ご存知の通り私立大学も利用
することができ、実際の採用数も毎年増加の一途を辿っています。


そして2006年度入試、「新課程入試」がいよいよ本格的に動き出しました。
2006年1月に実施されるセンター試験の出願が10月14日に締め切られ、11月7日
現在の出願者数は55万1,421人、うち77.3%にあたる42万6,037人が現役高校生
となっています。
センター試験を利用する4年制大学は、全大学の8割超にあたる593校にのぼり、
5教科7科目以上を課す大学は105大学379学部です。また、私立大では国際基督
教大学など新たに32大学が導入、2007年度入試では早稲田大政経学部での導入
がすでに決まっています。

また、英語のリスニングテストの導入も2006年度センター試験の目玉の一つで
す。リスニングテストは、科目「英語」の一領域で、筆記200点満点に対してリ
スニングは50点の配点です。
リスニングの試験時間は全体で60分となっており、リスニングに使用するICプ
レーヤーの配布・音声確認を行なったのち、実際は30分で音声問題を解答しま
す。大学入試センターでは、ホームページなどで操作方法や注意事項などを掲
載し、トラブルがないよう周知徹底を図っているようです。

このセンター試験も、少子化のため出願者数は2004年度から減少傾向にあります。
さらに現在、大学全入時代を前提に、次世代のセンター試験のあり方も検討さ
れている模様です。


リスニングテスト導入の意義など、「大学入試改革」をキーワードにしたレポ
ートをこちらでご覧いただけます↓
http://benesse.jp/berd/center/open/keyword/daigaku_nyusi_kaikaku.shtml

2006年度国公立大学入学者選抜の概要(文部科学省HP)↓
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/17/08/05083001.htm

独立行政法人 大学入試センターのHP(最新の出願者状況など)↓
http://www.dnc.ac.jp/index.htm


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   【編集後記】
  まだ11月上旬というのに、編集部では早くも風邪がはやっています。当番制
  のごとく"持ち回り"でやって来て、先日とうとう私のところにも・・・。しかも、
  人によって2タイプの症状があることから、どうやら"亜流"まで蔓延(はびこ)
  り出している模様。さすがに2巡目は困ると戦々恐々の毎日です。
  ちなみに、コラムでご紹介したセンター試験のリスニングテストについて。
  希望者はICプレーヤーを試験終了後持ち帰れるそうです。
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