BERD教育リポート メールマガジンバックナンバー

 「BERD教育情報通信」 バックナンバー 第10号(06年01月24日発行)

※文中に記述された内容は当メールマガジン発行時のものです。

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■   ■   ◆BERD教育情報通信*第10号 2006/1/24発行◆
■   ■    ベネッセ教育研究開発センター メールマガジン
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■    ■
■    ■ BERD=Benesse Educational Research & Development Center
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こんにちは。BERD教育情報通信第10号をお届けします。今回のレポートは、
「幼児と父親のかかわり」についてです。当センターが1月に発刊した「第3回
幼児の生活アンケート報告書」より、父親の育児・家事への参加について母親
はどのように評価しているのか?前回調査(2000年)と比較して違いは見られ
るのか?等、教育データとしてはもちろんのこと、是非、一人の「お父さん」
の立場になったつもりでご覧ください!


■ INDEX ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥・
  【1】教育研究開発センターからの新着情報&お知らせ【news】
  【2】教育レポート(1)
    「父親の家事・育児サポートの状況はこの5年で変化なし」【report】
  【3】教育レポート(2)「整理&解説、大学再編」【column】
  【*】編集後記
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  【1】教育研究開発センターからの新着情報&お知らせ
      http://benesse.jp/berd/
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★06年01月23日
  VIEW21[小学版]2006年1月号 特集:つながる幼小の「学び」を掲載しました
  /berd/center/open/syo/view21/2006/01/s01main.html

 VIEW21[中学版]2006年1月号 特集:つながる小中の「学び」を掲載しました
  /berd/center/open/chu/view21/2006/01/c01main.html

 本メールマガジンのバックナンバー第9号を掲載しました
  /berd/magazine/index.html#bn

★06年01月20日
  大学まるごと調査『第3回 理系学部大学院進学の現状〜国公立大学理系学
  部(理・工・農系統)の大学院進学状況〜』を掲載しました
  http://benesse.jp/berd/research/index.shtml#daigaku_marugoto_chosa


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   集計表も!分析結果も!経年比較も!
      報告著本体と同一の内容を無料で
         ホームページ上でご覧いただけます
http://benesse.jp/berd/center/open/report/youjiseikatsu_enq/
2005/index.shtml

  『第3回幼児の生活アンケート報告書・国内調査』<2006年1月刊>
    〜ベネッセ教育研究開発センターの調査研究報告書より〜

乳幼児の生活実態、子育てや教育などに関する母親の意識、父親のかかわり、
子育て支援の状況等を調査・分析。1995年、2000年調査との経年比較も可能です
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  【2】教育レポート「父親の家事・育児サポートの状況はこの5年で変化なし」
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ベネッセ教育研究開発センターが1月に発刊した「第3回幼児の生活アンケート
報告書・国内版」によると、首都圏の0歳6か月〜6歳就学前の乳幼児をもつ母
親の6割が、父親の育児参加に対して「満足」している一方で、8割弱が育児に
「もっと参加してほしい」という要望を持っていることがわかりました。


◆父親の家事・育児サポートの状況はこの5年で大きな変化なし


今どきの父親は、家事や育児にどのようにかかわり、母親はそれをどのように
認識しているのでしょうか。
調査結果によると、「父親に関してあなた(回答者=母親)は次のようなこと
についてどう思いますか」という質問に対して、


・育児の悩みの相談にのってくれる → 72.6%
・子育ての大変さなど私(回答者=母親)の苦労を理解している → 64.6%
・育児生活上のストレス発散ができるように配慮してくれる → 58.7%

 ※ %は「とてもそう思う」+「まあそう思う」の合計


と評価しています。
他の質問項目とも合わせて総合的にみると、多くの母親が父親である夫に心理
面である程度支えられている実感を持っているようです。


1999年の厚生労働省による少子化対策キャンペーンの一環として、「育児をし
ない男を、父とは呼ばない」というキャッチコピーがありましたが、最近では
若い世代を中心に父親の子育て参加が増えているという統計もあります(内閣
府「平成17年度版  国民生活白書)。


ところが、今回の調査結果と前回の調査結果(2000年)を比較したところ、父
親の精神的なサポートの状況はこの5年間では大きく変化していません。むし
ろ、数ポイントの範囲ながら前回調査の値よりも下がっている項目が多く、明
らかなプラスの変化は見られないようです。


また、母親の心理面のみならず、実際の家事・育児への参加度合いも5年前か
らあまり増えていないことが明らかになりました。
例えば、「子どもと一緒に室内で遊ぶ」、「子どもをお風呂に入れる」、「掃
除をする」などの項目は、いずれも5年前(前回調査)と比較してわずか1ポイ
ントほどしか変わっていません。わずかに「食事の片づけをする」が2.7ポイ
ント増、「ごみを出す」が10.5ポイント増となっています。


※ 視認しやすい棒グラフの経年比較データをこちらでご覧いただけます↓
   http://benesse.jp/berd/center/open/report/youjiseikatsu_enq/
2005/pdf/03youjiseikatsu_enq06_1.pdf
   (p101)


※ 内閣府「平成17年版 国民生活白書」
   http://www5.cao.go.jp/seikatsu/whitepaper/h17/10_pdf/01_honpen/


◆帰宅時間の差が育児参加度の差につながる


仕事で多忙な父親が、帰宅後、家事や育児に積極関与することは難しいのが現
状かもしれません。実際、帰宅時間が早いかどうかによって、特に育児への参
加頻度が大きく異なることが調査結果で明らかになりました。

まず、父親の帰宅時刻を調べたところ、ピークは21時台(15.4%)で、22時台
が14.6%、23時台以降も21.9%を占めています。


※ 父親の帰宅時刻の分布(グラフ)はこちらでご覧いただけます↓
   http://benesse.jp/berd/center/open/report/youjiseikatsu_enq/
2005/pdf/03youjiseikatsu_enq06_3.pdf
   (p107)


次に、父親の家事や育児への参加状況を帰宅時間帯別に見たところ、
「子どもを叱ったりほめたりする」父親の割合は、帰宅時間が18〜19時台では
83.5%なのに対して、「0〜1時台」の父親は27.1%と、56.4ポイントも差が開
いています。また、「子どもと一緒に遊ぶ」「子どもをお風呂に入れる」など
の項目でも同様の傾向が見られました。これは、帰宅時刻が子どもの就寝時間
を過ぎてしまうと、子どもとかかわることが不可能になってしまうことから格
差が生まれていると考えられます。


※ 親の帰宅時間帯別に見た家事・育児の参加状況を
   視認しやすい棒グラフでご覧いただけます。↓
   http://benesse.jp/berd/center/open/report/youjiseikatsu_enq/
2005/pdf/03youjiseikatsu_enq06_3.pdf
   (p109)


こうした状況の改善には、育児休業の父親の取得率を向上させるなど、社会的
な基盤整備が求められています(メルマガ第8号参照)。そして、単に育児と
いう親子の絆を強めるためだけではなく、夫婦という家族の基本単位を強める
ための、父親と母親の歩み寄りも求められているのではないでしょうか。


※ メールマガジン第8号(バックナンバー)はこちらでご覧いただけます↓
   http://benesse.jp/berd/magazine/backnumber/bm8_051220.html


※ 「第3回 幼児の生活アンケート調査報告書<国内調査>」

   調査対象:首都圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)の
         0歳6か月〜6歳就学前の乳幼児をもつ保護者
    調査時期:2005年3月
    サンプル:2,980名
    調査項目:子どもの基本的な生活時間/習い事/メディアとの関わり/
    遊び/幼児の発達状況/母親の教育観・仕事感・子育て感 等
    調査の概要・結果はこちらからご覧いただけます↓
    http://benesse.jp/berd/data/index.shtml#youji3


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【3】教育レポート(2)「整理&解説、大学再編」
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◆本格的な大学淘汰の時代へ


今月(2006/1)、総合大である関西学院大(西宮市)と、聖和大(同)が2008
年4月の合併に向け協議しているとの報道がありました。

大学全入時代を目前に経営基盤を強化するためで、4年制大学をもつ学校法人
の経営統合は終戦直後を除いて全国初だそうです。

実際、ここ数年の間に大学の経営破綻をめぐるニュースが幾つも取り上げられ
るようになりました。立志舘大(広島県)は00年に広島安芸女子大として開学
しましたが、2年連続で定員割れとなり事実上破綻。その後、支援を受けて改
称、共学化して再建を目指しましたが果たせないまま、03年には学生募集停止
と休校に追い込まれました。05年には、萩国際大が定員割れで経営難に陥った
大学としては初めて、民事再生法の適用を東京地裁に申請、今年1月には総額
約39億円の負債を3分の1以下に圧縮するなどの再生計画案が認可されたそうで
す。

「2005日本私立学校振興・共済事業団調査」によると、05年度、入学した学生
数が定員を割り込んだ(定員割れ)4年制私立大は160校。昨年度より5校増え
て過去最多を記録したそうです。また、定員割れしている短大はすでに158校
と全体の4割を超えており、さらに現在も水面下での統合の検討が進んでいる
とされています。少子化による厳しい経営環境の継続が見込まれるなか資金繰
りに苦しむ大学は多いようで、今後も、私立大学の再建・再編は増加すると予
想されています。


◆国公立大も統合すすむ


財政的なバックボーンがある国公立大も、厳しい再編統合の時代を迎えていま
す。そのきっかけとなったのが、01年に遠山文部科学大臣(当時)が提出した
「大学(国立大学)の構造改革の方針」、いわゆる「遠山プラン」でした。
ここには、大学(国立大学)の構造改革の方針として、

 
(1)国立大学の再編・統合を大胆に進める
(2)国立大学に民間的発想の経営手法を導入する(国立大学の法人化)
(3)大学に第三者評価による競争原理を導入する


の3点が謳われていました。国立大の教員養成系学部などの規模の縮小・再編
(地方移管等も検討)なども盛り込まれており、当時99あった国立大学の数の
大幅な削減を目指すプランでした。

※ 文部科学省「平成18年度国立大学の入学定員について(予定)」
   http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/17/08/05091201.htm


こうしたなか、02年10月、筑波大と図書館情報大、山梨大と山梨医科大の統合
を皮切りに国立大の再編統合がスタートしました。例えば山梨大は、工学、医
学、教育人間科学の3学部を持つ大学としてスタートしましたが、医学と工学
を融合した大学院教育を重視した組織に改組するなどの取り組みが奏功して、
研究面で着実に成果をあげつつあるようです。


さらに、03年10月には島根大と島根医科大、香川大と香川医科大など20大学が
統合・再編されて10大学になりました。これらの多くは、地方国立大と単科の
医科大の同一県内の統合でした。大学としてまさに「生き残り」をかけるため
に、総合大学化を目指したのです。


一方、首都圏では05年4月に、公立の東京都立大を核として、都立科学技術大、
都立短期大、都立保健科学大が「首都大学東京」として都市教養・システムデ
ザイン・保健福祉・都市環境学部の4学部に改組され、初代学長に西沢潤一氏
(前岩手県立大学長)が就任したことは、記憶に新しいと思います。


また、教員養成系学部の再編統合の動きも具体化の動きを見せています。しか
し、埼玉大と群馬大の教育学部統合化は白紙に戻るなど模索が続いており、現
在連携を視野に協議中といった国立大学が多い模様です。さらに2007年には、
大阪大学と大阪外国語大学が統合を迎えるといわれています。


※ 国立大学の再編の現状と今後の取り組み(文部科学省ホームページ)
   http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/gijiroku/
001/030301e.htm


こうしたなかで、国立大のすべてが同じスタンスでいくことはもはや難しく、
統合・再編のなかで大学の種別化が進んでいくと思われます。この種別化につ
いては当センターのレポートで詳しく触れていますのでご参照ください。
   http://benesse.jp/berd/center/open/report/iituka/2002/
iituka_01_02.html


◆不透明さ続く、学生への転学支援体制


大学が破たん、あるいは統合・再編した際、学生の就学機会や生活環境をどう
確保するのかについて、その枠組みや支援体制の必要性が盛んに議論されはじ
めました。特に、経営破綻にともなう学生の「学び」の場と機会を奪う権利は、
どこにもないはずです。学生の教育機会の確保、支援策(スキーム)を含め、
再度「大学教育の未来像」を国から具体的に示すべきなのかもしれません。


※ 「大学の再編・統合」をキーワードにした過去のレポート集を収録してい
   ます。是非ご一読ください。↓
   http://benesse.jp/berd/center/open/keyword/daigaku_saihen.shtml


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  【編集後記】
  スナック菓子にチョコレート、かまぼこ、ちくわにコーヒー、カップめんと、
  これらはすべて受験生を応援する数々の「あやかり型」商品です。メーカー
  の販売戦略とわかってはいても、つい「子どもに」と手が伸びてしまう心境、
  これもわかります。私自身が受験生だったン十年前も、石油ストーブの上で
  餅を焼いて夜食に、やかんを置いて加湿器代わりにと、母が気遣ってくれた
  ものでした。どうか体調を崩さず、全力を出し切れますように、ガンバレ、
  受験生!
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