BERD教育リポート メールマガジンバックナンバー

 「BERD教育情報通信」 バックナンバー 第13号(06年03月07日発行)

※文中に記述された内容は当メールマガジン発行時のものです。

■■■■  □■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
■   ■   ◆BERD教育情報通信*第13号 2006/3/7発行◆
■   ■    ベネッセ教育研究開発センター メールマガジン
■■■■■         http://benesse.jp/berd/
■    ■
■    ■ BERD=Benesse Educational Research & Development Center
■■■■■ □■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□


こんにちは。BERD教育情報通信第13号をお届けします。今回は、「大学院
版特色GP」ともいえる「魅力ある大学院教育」イニシアティブの情報と、幼小
連携の現状と課題についてレポートします。いずれも、ベネッセの教育情報誌
「VIEW21」にて好評を博している記事に加筆・修正を行ったものです。
本誌の内容もホームページ上(http://benesse.jp/berd/)でご覧いただけま
す。ご興味のある方は是非、併せてご参照ください。


■ INDEX ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥・
  【1】教育研究開発センターからの新着情報&お知らせ【news】
  【2】「魅力ある大学院教育」イニシアティブの公募締め切り迫る【report】
  【3】期待と不安高まる幼小連携【report】
  【*】編集後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥・


┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  【1】教育研究開発センターからの新着情報&お知らせ
      http://benesse.jp/berd/
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


★06年03月07日
VIEW21[小学校版] 「小学校英語活動Vol.7 第2回全国小学校英語活動実践
研究大会(京都市)から『公開授業:担任の先生一人で進める英語活動〜ビデオ
づくりを通して』」を掲載しました
http://benesse.jp/berd/center/open/syo/view21web
/syo_english/2006/03/s_en03_report_01.html

★06年03月06日
Between2005-2006年12,01月号 特集:教員養成システムの論点
を掲載しました
/berd/center/open/dai/between/
2006/1201/1201main.html

★06年03月06日
本メールマガジンのバックナンバー第12号を掲載しました
http://benesse.jp/berd/magazine/index.html#bn

★06年02月28日
小さな子どもとメディア「まわりはどうしてる?アンケート集
調査2:第3回幼児の生活アンケート」 を掲載しました
/berd/media/enquete/index.shtml

■■PR■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

       3/18(土)開催!お申込み受付け中です
┏─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┓
│べ│ネ│ッ│セ│教│育│フ│ォ│ー│ラ│ム│2│0│0│6│
┗─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┛


児童・生徒の「豊かな学力」の確かな育成に向けて、いま考えたいこととは?
本フォーラムでは、ICT(情報コミュニケーション技術)の活用や
学力充実のための「総合戦略」などについて、最新の情報をお届けします。
まだ席に余裕があります。(入場無料)多くの皆様のご参加をお待ちしており
ます。


詳細はこちら(PDF[1,387KB])をご覧ください!
/berd/event/img/pdf/
saitama_forum.pdf


【プログラム】
  ・講演1 「学力とICT」
     独立行政法人メディア教育開発センター 理事長 清水康敬氏
  ・講演2 「ICT普及に向けた重点施策」
     文部科学省 初等中等教育局 参事官 嶋貫和男氏
  ・ICT活用 実践事例報告(小・中学校の実践)
  ・講演3 「豊かな学力充実のための総合戦略」
     玉川大学学術研究所教授 山極隆氏


【日時】平成18年3月18日(土) 13:00〜17:15
【場所】大宮ソニックシティ・展示場イベント会場(B1F)
【主催】(株)ベネッセコーポレーション ベネッセ教育研究開発センター
【申込方法】以下のWEB申込フォームをご利用ください↓
       /berd/event/offer_event.html
【問い合わせ先】担当:小中学校事業部 小犬丸(こいぬまる)・住谷
         電話:03-3259-1160
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■PR■■■■■■

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【2】「魅力ある大学院教育」イニシアティブの公募締め切り迫る
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


◆2005年度の採択は旧帝大強し


現在、文部科学省では「魅力ある大学院教育」イニシアティブの、2006年度の
教育プログラムを公募しています。3月中旬に受付を締め切り、審査結果は6月
下旬に公表・開示される見込みです。


「魅力ある大学院教育」イニシアティブは今年度(2005年度)から始まった新
規の取り組みで、2006年度の予算総額は42億円を予定しています(平成17年度
予算額30億円)。「現代社会の新たなニーズに応えられる創造性豊かな若手研
究者の養成機能の強化を図るため、大学院における意欲的かつ独創的な教育の
取組を重点的に支援することを目的」(文部科学省HPより)としています。


つまり、研究者を養成するために意欲的・独創的な教育を行っている大学院に
対して、とくに費用面で重点的に支援を行うことで、大学院教育の拡充を進め
ることが最大の狙いです。このほか、取り組みの成果を対外的に情報発信する
ことで大学院教育の改善を促し、世界規模での競争力強化を図ることも期待さ
れています。


対象となるのはすべての学問分野ですが、公募の際は「人文社会系」「理工農
系」「医療系」の3分野に区分して、各専攻単位で募集しています。初年度
(2005年度)開始分については147大学338件の応募があり、審査を経て採択さ
れたのは45大学97件でした。全大学中で最多の採択数を獲得した大阪大の10件
のほか、東京大7件、京都大6件など、すべての分野で旧帝大といわれる難関国
立大の強さが際立っており、特に理工農系は9割が国立大で占められています。


※対象分野別の申請/採択状況はこちら↓
  http://benesse.jp/berd/center/open/kou/view21/
2006/02/03univ_05big.html


◆研究者養成のために教育の充実を目指す


こうした動きの背景には、大学院改革への要請があります。大学の学部段階に
おける教育改革が進む中、大学院においても教育の充実を図る動きが出てきた
のです。


従来、大学院は研究志向が強く、そこでの教育は「徒弟制的」な傾向が指摘さ
れるなど閉鎖的であり、横断的な教育に取り組みにくいなどの問題を抱えてい
ました。こうした中、就学者数の急増という構造的な問題が見えてきました。
一方で、このところ大学院進学者数が大幅に増加し、さらに社会人や留学生な
ど多様な人材が数多く入学しています。このような「大学院の大衆化」が進む
中で、個々の教員による指導に依存していたのでは、どうしても限界がありま
す。修士・博士課程における教育課程の組織的展開を強化していくことが極め
て重要になっているのです。


また、従来の研究者像とは一線を画した新たな研究者像を確立するためにも、
大学院教育の組織的展開は欠かせません。21世紀は新しい知識・情報・技術が、
政治・経済・文化などのあらゆる領域で重要性を増す「知識基盤社会」の時代
であると言われます。そうした「知識基盤社会」に求められるのは、狭い範囲
の研究領域のみならず、幅広く高度な知識・能力が身に付く体系的な教育とい
えます。


大阪大理事・副学長の鷲田 清一先生はベネッセ教育総研「VIEW21」高校版200
6年2月号のインタビューにおいて、「科学技術は人々の生活を高める一方、人
的ミスによるさまざまな事故も引き起こします。これからの科学者には市民の
期待やニーズだけではなく、不安に対してもきちんと耳を傾けつつ、研究を進
めていく姿勢が強く求められているのです。だからこそ、先端研究を行う大学
院生にこそ確かな『教養』が必要であると考えています」と社会貢献の観点か
らも大学院の教育を見直すことの重要性を話しています。


「魅力ある大学院教育」イニシアティブで認可を受けた大学院は、年度ごとに
1件あたり1億円を上限とした助成金を受けられます。類似するものとして学
部教育の優れた取組みを扱う「特色GP」がありますが、これと比較しても予算
規模が大きくなっています。文部科学省が大学院に対してこうした競争的資金
を投下することは、実は大変大きな変化であり、認定された各大学院での実効
性が今後問われることになるでしょう。


※鷲田先生のインタビュー記事と大阪大の事例はこちらでご覧いただけます↓
  http://benesse.jp/berd/center/open/kou/view21/
2006/02/03univ_06.html

※「魅力ある大学院教育」イニシアティブ 関連サイト↓
  http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/kaikaku/miryoku.htm(文部科学省)
  http://www.jsps.go.jp/j-initiative/index.html(独立行政法人日本学術振興会)


┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  【3】期待と不安高まる幼小連携
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


◆小1プロブレム対策に動く文部科学省


ここ数年、小学1年生の授業が成立しない「小1プロブレム」現象が話題にな
っています。文部科学省では、幼稚園から小学校への教育が滑らかに移行でき
るような「幼小連携」の可能性を探るべく、2001年度から、都道府県を実施主
体とした「幼・小連携に関する総合的調査研究」を実施しています。2003年度
には厚生労働省と連携して保育所も調査対象に含め、「就学前教育と小学校の
連携に関する総合的調査研究」を実施、2005年度は以下の10地域が調査研究に
取り組んでいます。


◇就学前教育と小学校の連携に関する総合的調査研究指定地域
  【2004〜2005年度】茨城県、兵庫県、山口県、熊本県
  【2005〜2006年度】岩手県、山形県、神奈川県、長野県、三重県、佐賀県


ベネッセ教育研究開発センターの教育情報誌「VIEW21」小学版・2006年3月号に
おいて、この「幼小接続」を特集として取り上げたところ、複数のメディアで
紹介されたこともあり、非常に大きな反響をいただきました。


同特集にあるインタビューのなかで、中教審委員で白梅学園大学長の無藤 隆
先生は、小学校において、子どもが就学前までに得た「学びの履歴」を踏まえ
た指導を行うことの重要性を指摘されています。


「小学校に入る前から、子どもたちは生活の中で、お菓子を数えたり、トラン
プをしたりして、しょっちゅういろいろなものを数えています。実は小学校の
算数のベースは就学前に培われており、たとえば「5+3」が8だということは
多くの子どもがすでに知っています。1年生の算数でより大切なのは、「5+
3」の筆算の式の書き方を覚えることです。ここをきっちり押さえておかない
と、2桁の計算が出てきたとき、桁を揃えて計算することができないからです。
だから、答えが「8」かどうかではなく、このときに筆算の式はどう書くのか、
それがポイントだということを教師は十分に意識して、子どもに教えることが
大切。子どもが幼児期までに獲得したものを踏まえ、それを上手に利用するよ
うな指導が展開されてもよいと思うのです」(無籐先生)


◆「総合施設」設置を視野に、幼小の繋がりが求められる


そのためには、幼稚園・保育園の先生と小学校の先生が情報交換を行い、小学
校の先生は、子どもたちが幼児教育で既に何を経験しているのかを知ることが
必要になります。しかし、現実には「時間がない」「幼稚園・保育園と課題の
共有ができていない」「他の取り組みと比較して優先順位が低い」などの理由
で実施に至っていないケースが大半のようです。


幼稚園や保育園には公立・私立の違いもあり、それぞれ活動内容は異なります。
2006年度には、第三の幼児教育施設として、就学前の教育と保育を一体として
捉えた「総合施設」設置の制度が本格的に実施される予定です。幼児期の発達
は個人差が大きいうえに、ますます子どもの多様化が進むのは避けられないで
しょう。そうしたなか、子どもたちはどのような「学び」を経て、小学校へと
進んでくるのか。この年代にこそ必要な体験とは何か。子どもたちの発達段階
を踏まえ、新1年生を迎える小学校の先生方が取り組むべき接続教育の課題を、
いま一度考え直してみる必要がありそうです。


「VIEW21」小学版2006年3月号 特集 つながる幼小の「学び」では、
ご紹介した無籐先生のインタビュー記事をはじめ、特集記事をご覧いただけます。
/berd/center/open/syo/
view21/2006/01/s01toku_01.html


┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   【編集後記】
  今日、普段より遅目に家を出ました。その差わずか20分ほどだったにもか
  かわらず、物凄い通勤ラッシュにあれよあれよという間に巻き込まれてしま
  いました。電車の中は、自分の力で立っているのかわからないほどの寿司詰
  め状態。我慢すること十数分、目指す駅は目前、やっと降りられる!と思っ
  た次の瞬間、急ブレーキがかかって車両内の乗客は「おおーっ」と大揺れ。
  しかし足を動かして踏ん張るスペースの余裕もなく、私を含めた多くの人は
  荒川選手ばりのイナバウワーを披露?してしまいました。明日はやはり早起
  きしないと!
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

本メールマガジンは、教育研究開発センターで、読者登録頂いたお客様に対して、
無料でお届けする教育情報メールマガジンです。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

Copyright(C) 株式会社ベネッセコーポレーション
掲載記事を許可なく転載することを禁じます。

メールマガジントップへ