BERD教育リポート メールマガジンバックナンバー

 「BERD教育情報通信」 バックナンバー 第14号(06年03月22日発行)

※文中に記述された内容は当メールマガジン発行時のものです。

■■■■  □■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
■   ■   ◆BERD教育情報通信*第14号 2006/3/22発行◆
■   ■    ベネッセ教育研究開発センター メールマガジン
■■■■■         http://benesse.jp/berd/
■    ■
■    ■ BERD=Benesse Educational Research & Development Center
■■■■■ □■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□


こんにちは。BERD教育情報通信第14号をお届けします。今回は、この2週
間で3回も関連フォーラムの開催が続いている「スーパー・イングリッシュ・
ランゲージ・ハイスクール(SELHi)」における取り組みの効果や課題につい
て報告します。また、かねてよりベネッセが提唱している、学校マネジメント
における「R-PDCA」サイクルの興味深い調査結果もお伝えします。


■ INDEX ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥・
  【1】教育研究開発センターからの新着情報&お知らせ【news】
  【2】調査データからみる高校英語指導のポイント【report】
  【3】コレは何の数字でしょう?【column】
     〜学力向上への取り組み成果、「かなり」と「まあ」の違いは?〜
  【*】編集後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥・


┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  【1】教育研究開発センターからの新着情報&お知らせ
      http://benesse.jp/berd/
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★06年03月22日
メールマガジン 『BERD教育情報通信』のバックナンバー第13号 を掲載
しました
http://benesse.jp/berd/magazine/index.html#bn

★06年03月20日
VIEW21[高校版]2006年特別号 「SELHiに見る英語教育の挑戦」 を掲載
しました
/berd/center/open/kou/view21
/2006/sp/main_sp.html

★06年03月20日
学力向上の取り組みに関する調査報告書「R-PDCAのマネジメントと学力
向上の成果認識との関係」 を掲載しました
/berd/data/index.shtml#r_pdca

■■PR■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
ベネッセ教育研究開発センターの書籍が発刊されます

「論理力」「作文・表現力」を子どものうちから身に付けるために
         ↓      ↓      ↓
    ●○ベネッセ発 小学生からの「考えて書く力」○●
      ベネッセ教育研究開発センター・著
      国立教育政策研究所総括研究官 有元 秀文 先生・監修
      (244ページ、ソフトカバー、発行:日経BP社、1,300円+税)

「筋道を立てて考え、きちんと伝える力」の意義と指導のエッセンスが満載!

こちら↓で目次など概要のご確認、ご購入お申込が可能です
http://bpstore.nikkeibp.co.jp/item/main/148222450630.html

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■PR■■■■■■

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【2】調査データからみる高校英語指導のポイント
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


◆注目を集めるSELHiの取り組み

去る3月17日、神奈川県横浜市のパシフィコ横浜で「『英語が使える日本人』
育成フォーラム2006」が開催されました。そのなかで注目を集めたのが「スー
パー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクール(SELHi)」指定校による
取り組み状況の報告でした。3/25(金)、26(土)にも、文部科学省によるSE
LHi関連のフォーラムが続けて開催されるなど、その取り組みがクローズアッ
プされています。


SELHiとは、文部科学省が指定した英語教育を重点的に行う高校及び中等教育
学校のことです。2002年度からスタートして、2005年度で4年目を迎えました。
英語教育の先進事例となるような学校づくりを推進するため、英語教育を重点
的に行う高等学校等を指定し、英語教育を重視したカリキュラムの開発、大学
や中学校等との効果的な連携方策等についての実践研究を実施することを目的
としています。


※スーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクールの概要
  http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/17/04/
05040502.htm(文部科学省HP)


◆SELHiはプロダクション活動を授業で重視

ベネッセでは、2004年11月から2005年4月にかけて全国5,236名の高校1、2年生
を対象に「高校英語GTEC調査」を行いました。この結果から、一般的な高校の
英語教育は「分析的学習活動」が学習の柱になっているのに対して、SELHi校
は「プロダクション活動」を重視していることがわかりました。


  ・分析的学習活動:英文和訳、文法指導など、言語形式に関する学習
  ・プロダクション活動:英作文やプレゼンテーション、ディベートなど、
   主に考えて話す活動


生徒の英語力を伸ばすためには、「分析的学習活動」を軽視できないとはいえ、
「分析的学習活動」に偏りすぎると、コミュニケーション能力が伸び悩むだけ
でなく、「やればできる」という自信や達成感など、学力向上に必要な「自己
効力感」を生徒が獲得する上でも課題があると考えられます。分析的学習活動
では教師の講義が中心となるため、生徒がそうした達成感を実感できる場面が
限られてしまうからです。しかし「プロダクション活動」では、生徒が英語を
使って自ら発信する場面が多く設けられているので、「自分の考えを、みんな
の前で表現できた」という達成感をその都度味わうことができます。


※SELHi校と一般校別にみた「自己効力実感度」と「授業満足度」の比較グラ
  フはこちら↓
  /berd/center/open/kou
/view21/2006/sp/02selhi_data_03.html


とはいえ、「プロダクション活動」重視の指導は、高い学力層の生徒には適し
ていても、そうでない生徒には機能しにくいということも考えられます。実際、
これを考えさせる調査結果もでています。この調査結果についてはVIEW21高校
版特別号「SELHiに見る英語教育の挑戦―変わりつつある英語教育の今、そし
て未来」
  /berd/center/open/kou
/view21/2006/sp/02selhi_data_04.html
をご参照ください。


「プロダクション活動」では、自分の考えを発信することを目標とするため、
まずは土台となるインプットが必要です。そこで、Benesse教育研究開発セン
ター特別顧問の高田正規先生が提案するのは、授業中の教師と生徒の間でのこ
まめな「発問と応答」のやり取りです。「例えば、生徒のレベルに合った英文
を読ませ、その感想を最初は単語、やがて単文で、そして複文で答えさせる。
一つの活動の中で『英文を読んで、文法や語法についての知識を習得する』と
いうインプットと、『英文を読んだ感想や意見を、英語で表現する』というア
ウトプットを織り交ぜることで、短いスパンで生徒が達成感を抱くことができ
る。グループ学習やペア学習を通して、生徒同士で簡単な発問と応答をさせる
のも効果的だろう」(高田先生)


文部科学省は近年、これまでの文法や語い力中心の教育からオーラルコミュニ
ケーションを重視する施策をとっています。2003年3月に策定した「『英語が使
える日本人』の育成のための行動計画」のなかでも、「中学・高校を卒業した
ら英語で外国人とコミュニケーションが出来る」「大学を卒業したら仕事で英
語が使える」人材の育成を目標としています。高校での英語教育においても、
SELHi校の研究内容、例えば「使える英語」を重視するSELHi型授業法のエッセ
ンスなどをいかに一般化し、より多くの高校に活用可能なものとしていくか。
そのための取り組みが今後の課題といえます。


※SELHiがもたらしたもの〜SELHiは日本の英語教育をどのように変えるのか〜
  宮崎大学教育文化学部教授 景浦 攻 先生へのインタビュー記事はこちら↓
  http://benesse.jp/berd/center/open/kou/view21
/2006/sp/07selhi_int2_01.html


  <お知らせ>
  2005年度現在でSELHiに指定されている高校のデータベースを作成しました。
  是非ご活用ください。こちら↓からご覧いただけます。
  /berd/center/open/kou/view21
/2006/sp/selhi_database/index.html


┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  【3】コレは何の数字でしょう?
    〜学力向上への取り組み成果、「かなり」と「まあ」の違いは?〜
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


◇◆ このコーナーについて ━━━━━━━━━━━━━━━…‥・
    まず冒頭で或る数字(データ)を示します。これは、教育に関連する
    諸調査の結果を一部抜粋したものです。その数字が何を表している
    のかを、ヒントを参考にしつつ考えてみてください。
   …‥・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆◇


◆今回は…◆
【学力向上の取り組みについて「『かなり』成果が上がった」と回答した小学
  校は○%】


◆HINT◆
「『まあ』成果が上がった」、と回答した学校は78%でしたが、「かなり」は
  どの程度?


◆ANSWER◆
【学力向上の取り組みについて「『かなり』成果が上がった」と回答した小学
  校は20%(中学校は15%)】

2005年11月にベネッセ教育研究開発センターが発表した、学力向上の取り組み
に関する調査報告書『R−PDCAのマネジメントと学力向上の成果認識との
関係』によると、学力向上の取り組みに対する学校の成果認識について、小学
校では98%、中学校では93%が、「かなり/まあ成果が上がっている」と回答
しています(いずれも6%程度の無回答を除く)。


本報告書によると、学力向上の取り組みについて「かなり成果が上がった」と
回答している学校では、「まあ成果が上がった」とする学校に比べて、学力調
査や生活・意識調査等の実態把握の結果を通して、子ども一人ひとりの状況把
握を行ない、個に応じた指導の改善に生かしている割合が高いことがわかりま
した。学力向上の取り組みで成果を上げていくためには、実態把握の結果を踏
まえた子ども一人ひとりに応じた指導を工夫することが大切であることを改め
て示しているものと考えられます。


また、実態調査のデータ分析において、教育委員会や外部機関のサポートを受
けている小中学校の割合は、「かなり成果が上がった」とする学校のほうが高
い傾向にあります。このことは、実態調査の実施やデータ分析を学力向上の成
果につなげていくためには、あるレベル以上の専門的力量やパワーの投入が要
求されることを示唆しています。

そして、この「かなり」と「まあ」の違いの背景には、R−PDCAサイクル
の各段階の取り組みの相違が大きく関係していることも明らかになりました。
詳細は下記URLにある報告書をご覧ください。
  /berd/data/index.shtml#r_pdca


※学力向上の取り組みに関する調査報告書
  「R-PDCAのマネジメントと学力向上の成果認識との関係」
  【調査時期】2005年7月
  【調査対象】学力向上フロンティアスクール指定校、ならびに文部科学省の
        研究開発指定校を中心とした 小中学校の教務主任
  【回収状況】195校(小学校103校、中学校92校)


┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   【編集後記】
  やりました、王ジャパン!各紙は1面扱い、号外には人が殺到して救急車が
  出動する騒ぎも起きました。号外の印刷にかかる時間はわずか20分だそうで
  す(原版〜刷り上がり・1万部の場合・日本印刷産業連合会HPより)。原稿
  作成や配布場所への移動時間などを加えるとTVやWebの速報性には負けます
  が、配る人の嬉しそうな顔を見、周囲の人のコメントに耳を傾けていると、
  号外という紙媒体を通じて、その時の気持ちを皆で共有する「街角」の良さ
  が感じられて鼻の奥がツンときました(あれ、それとも花粉症?)。
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

本メールマガジンは、教育研究開発センターで、読者登録頂いたお客様に対して、
無料でお届けする教育情報メールマガジンです。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

Copyright(C) 株式会社ベネッセコーポレーション
掲載記事を許可なく転載することを禁じます。

メールマガジントップへ