教育現場リポート「いま子どもたちに必要な力」第1回:「基礎基本」(2)英語で育む「会話を深める力」
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大人の英語学習者との対話で意欲を喚起

 03年度に文部科学省から英語に関する小中連携の研究開発学校の指定を受け、木村先生を中心に英語授業の改善が始まった。

 まず、1年の時に主体的・積極的に会話しようとする態度や「できた」という素直な喜びを醸成することが必要と考え、ボランティアを活用した英会話の時間を設定した。国際交流団体を通じて紹介された海外在留経験者や英米語学科の大学生ら約20人のボランティアが「インストラクター」になり、用意された教材に沿ってグループ学習の指導の補助をした。 発音を細かくチェックできるなどある程度の成果はあったが、当初の狙いだった「会話の深まり」は期待したほどの効果が得られなかった。木村先生は「子どもを指導するプロではないので、考えてみれば当たり前のことだった」と振り返る。

英語学習者としてのボランティアが入る1年の授業
英語学習者としてのボランティアが入る1年の授業

 教材作成や実際の授業を分担してくれる他の英語の担当教員6人、校長、教頭とともに改善策を話し合った。「指導者ではなく、同じ英語の学習者である大人に授業に参加してもらってはどうか」というアイデアが出た。求めるレベルの高い大人の学習者が入ることで、その真剣さが生徒たちにいい意味での緊張感を生むと考えたからだ。

 市教委に「学習支援者を導入したい」と依頼。市が公民館で開いている英会話教室に通う人たちに「子どもたちと一緒に楽しく英語を勉強しませんか」と募集をかけた。学校で行った説明会には12人の希望者が集まった。趣旨説明の後、1人から質問が出た。「自分は英語が得意ではないのですが…」。木村先生は笑顔で「全く問題ありません」と答えた。

 実際の授業では、ボランティアは生徒たちのグループの中に入る。カードを用いた会話ゲームなどで、ボランティアがどんどん話しかけるうち、間違えることを恐れて引っ込み思案になりがちな生徒たちもつられて会話を楽しむようになっていった。

「必ずしも流暢ではないし、間違えることもあるが、何とか伝えようとするボランティアの態度が、子どもたちに安心感をもたらし、会話の動機づけになっている」
 木村先生は、ボランティアの役割の重要性を強調する。


 2年では04年度から、英作文などが中心の「自己表現」という授業を週1時間設けた。しかし、「1年での心情面の変容を、2年ではスキル面での変容にもつなげたい」との判断から、06年度からは、英会話を組み入れることにした。
 4年間の取り組みを通して、大半の生徒に「英語は苦じゃない」という雰囲気が生まれた。何より、自分の意見を表現しようとしたり、だれかの意見を聞こうとしたりする姿勢が、特に2年生で顕著にみられるという。

「世界、特に英語圏では、相手が理解できないのは伝える側に責任がある、というのが当たり前。そうした世界標準に対応していける素地を育てたい」
 木村先生は力強く語った。

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