第1部 これからの学力調査を考える 多様な学力調査で学力の裾野を広げる
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
  PAGE 9/14 前ページ  次ページ

地方自治体の実践事例 1

石川県金沢市教育委員会

URL http://www.kanazawa-city.ed.jp/
●05年度の学力調査実施概要
  実施時期/ 12月
  対象学年/ 小6生・中2生(悉皆)
  対象教科/ 国・算・理・社・学習意識調査(小6生)、   
国・数・英・理・社・学習意識調査(中2生)
 05年度、金沢市教育委員会(以下市教委)は、外部機関の協力を得て、上記の通り悉皆の学力調査を導入した。主席指導主事の山下美奈子氏はその目的を3つ挙げる。
  「第1に『学習指導要領』記載の子どもたちにつけたい力がどの程度身に付いているかを把握すること。第2に、全国平均との比較により、金沢市の児童・生徒が抱える課題を捉え、改善に向けた施策を講じること。第3に、各校が自校の課題を分析し、授業改善をはじめとした指導の充実に役立てられるようにすることです」
  調査は12月に実施し、翌1月下旬には各校に結果を返却した。2月には市教委が説明会を開催し、結果の分析法と学力向上に結び付ける手法をハンドブックにまとめ配付した。後日、各校はこれを活用し、結果分析と学力向上策を市教委に提出した。調査結果の扱いについて、市教委は各校に次の点を強調したと山下氏は話す。
  「結果に一喜一憂するのではなく、いかに学力向上に結び付けるかが重要です。他校との比較ではなく、自校の改善に重点を置くように説明しました。各校の分析過程では、説明会で配付したハンドブックが役立ったと好評でした」
  市教委では、教師が自分の授業に加え、学校全体の課題を見直そうとする意識が高まったこと、その結果、課題解決への主体的な動きが見られたことを大きな成果と捉えている。また、山下氏は外部機関の協力を得る利点に(1)専門機関はデータが豊富で作問や分析が客観的、(2)教師の負担が軽減、(3)全国比較が可能、の3点を挙げた。
  「金沢市では、04年度から市立の小・中学校に『学習指導基準金沢スタンダード』を導入しています。その成果を検証するために、今後も外部機関との連携を生かし、積極的に学力調査を活用していくつもりです」

  PAGE 9/14 前ページ  次ページ
目次へもどる
中学校向けトップへ