特集 「学びに向かう」生徒をどう育てるか?

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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ステップアップテストで授業理解度を把握

 「単元学習カード」の役割は、新しい単元に入るときに生徒に「学びの見通し」をつけさせることにあるが、それに対して単元の終了後に生徒の学習定着度を確認するために行われているのが、「ステップアップテスト」だ。
  小鹿野中学校では、本来放課後である毎週木曜日の6時限目に「ステップアップタイム」という25分間の授業時間を確保している。ここでは、5教科の終わったばかりの単元について、「単元学習カード」で示した到達目標に達しているかを測る「ステップアップテスト」を行う。基礎問題が中心で、出題内容もあらかじめ生徒に細かく提示している。きちんと準備をすれば、ほとんどの生徒が合格点に到達するようになっている。単元終了直後に「ステップアップテスト」をうまく「ステップアップタイム」に組み込めなかったときには、各教科の授業で単元テストとして行っている。
  生徒は、テスト合格を目標として、自宅でも単元の復習に取り組むようになる。これにより家庭学習の習慣化が図られ、既習事項の定着も確かなものになる(図3)。また、毎週テストを受けることで、「自分は今何を理解できていて、何が理解できていないか」の自己把握も促進される(図4)。

図3
毎週木曜日に「ステップアップテスト」が行われるため、それを目標に1週間の学習を計画的に進めることができる
図4
 「『ステップアップテスト』の導入に伴い、中間テストを廃止しました。テスト前だけ勉強するのではなく、日々家庭で学習するスタイルを確立するためには、『ステップアップテスト』が効果的であり、中間テストは重要度が低いと判断したからです」(吉岡先生)
  しかし、それでもなかなか机に向かうことができない生徒はいるものだ。そこで、小鹿野中学校は現在、生徒全員に一定の基礎学力をつけさせるために、「ステップアップテスト」の不合格者を対象とした補充学習を、月曜日の放課後に設けようとしている。浦島校長は「補充学習では、生徒の学び合いの場面を、多く取り入れたいと思っています」と意欲的に話す。
  実は、既に2年生では、05年度2学期から「ステップアップテスト」の不合格者に対する補充学習と、期末テスト前の補充学習を行ってきた。そこでは、その教科が得意な生徒に希望制で「スチューデント・ティーチャー」になってもらい、苦手な生徒に教えるという手法を取り入れた。勉強が苦手な生徒は1人で勉強するのは苦痛だが、友だちと一緒なら楽しく学ぶことができる。一方、その科目が得意な生徒は苦手な生徒に教えることで、自分自身も理解を深めることができる。勉強が苦手な生徒と得意な生徒の双方の学習意欲を引き出していくことを狙いとしたものだ。この補充学習を導入した結果、期末テストの成績は図5のように大きく伸びている。
  「課題は時間の確保です。生徒は授業が終わると、日没までの短い時間で部活動に励んでいます。その時間を補充に割くのは、部活動を頑張っている生徒には不満でしょうし、顧問の教師の理解も必要です。日課表を組み直し、調整したいと考えています」(浦島校長)

図5

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