特集 カリキュラムから考える小中連携

天笠 茂

▲天笠 茂

あまがさ・しげる◎千葉大教育学部教授。千葉大教育学部附属教育実践総合センター長。日本カリキュラム学会常任理事。

*プロフィールは取材時(07年3月)のものです
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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【インタビュー】

「学校発」の発想で子どもの現状に合った連携を

千葉大教育学部 教授 天笠 茂

これから小中連携に取り組もうとする学校は、どのような点に注意すべきか。学校経営論・マネジメント論に詳しい千葉大教育学部の天笠茂教授にうかがった。

小学校と中学校の教師が共有できる明確な目標を

 小中連携を考える上で、まず気をつけなければならないのは、「連携自体」を目的とするような取り組みでは長く続かないということです。教師の人的交流の機会や、意見交換会をいくら増やしても、小学校と中学校の教師が明確な目標を共有していなければ、情報交換会の域を出るのは難しいのではないでしょうか。実際、小中間の人事異動が盛んな地域でも、小中の壁をうまく崩せていないのが現状です。
  だからこそ、小中連携の構想を練る際には、「自分の学校に小中連携がなぜ必要なのか」「連携を通じて何を実現したいのか」をきちんと考えることが大切です。教科の連携でも、「総合的な学習の時間」やキャリア教育などの連携でもかまいません。まずは、その学校ならではの課題を、しっかりと見極めることです。
  もちろん、カリキュラムの区分を「4・3・2」にするのか、「5・4」にするのかといった点も、学校の状況に応じて決めるべきです。生徒の発達状況は地域によって異なりますから、他校でうまくいっている手法をそのまま取り入れても、自校でもうまくいくとは限りません。生徒の実態を把握するのはもちろん、学力調査や学校評価といった客観的な指標を活用することも、皆が納得できる目標を定める第一歩となるでしょう。


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