特集 データでひもとく学習指導の「いま」と「これから」

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
   PAGE 9/18 前ページ 次ページ

教科によって活用型の授業の採用率にバラツキが

 図2は「教科の授業においてどのような方法を用いているか」を尋ねた結果だ。このデータから、テーマ学習や体験学習など活用型の授業の実施の現状が見えてくる。

図2

 活用型の授業方法を「用いている」と回答した割合を見てみると、回答者全体で5割を超えているのは「生徒に課題やテーマを与えて行う調べ学習」(58.0%)だけである。このほかの「生徒にテーマを選ばせて行う学習」「学校内での体験学習」「インターネットの利用」「ディベート・討論」などは、いずれも3割程度にとどまっている。
 教科ごとに見ると、社会や理科では活用型授業を取り入れている割合が比較的高く、社会での調べ学習の実施度は約85%、理科でも体験学習の実施度が約77%に上る。国語においても、調べ学習やディベート・討論を取り入れた学習の割合が高くなっている。その一方で、数学、外国語ではいずれの取り組みも平均値を下回る結果となり、教科の特性によって活用型の授業の取り入れやすさが異なることがわかる。
 先の「全国学力・学習状況調査」では、知識を活用できるかを問うB問題の正答率が低く、児童・生徒共に「活用力」に課題があることが浮き彫りとなった。図1前ページ)・からは、教科ごとの差はあるものの、教師が活用力を身につけさせるための授業を積極的に取り入れているとは言えない現状が明らかになった。活用力育成の取り組みは、まさにこれからといえる。
 耳塚教授が、「B問題、あるいはPISAの問題を教師全員が実際に解き、校内での共通理解を図れば、活用力が特定の教科だけにかかわるものではないことがわかる」というように、「活用力」とはどのような力で、それを養うのはどのような学習なのか、教師が具体的なイメージを持つことがまず重要だろう。

 

Point

「活用力」とはどういう力なのか、
校内で具体的なイメージを共有することが必要

 

   PAGE 9/18 前ページ 次ページ
目次へもどる
中学校向けトップへ