記念特集 中学校教育のこれまでとこれから
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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授業こそ生徒との信頼関係の根幹

 「先生、わかった!俺、天才かも」
 2年生の2学期、学級での授業中に、ある生徒がひときわ大きな声を張り上げました。4月ごろには無気力さが目立った生徒でしたが、次第に授業に集中し、発言するようになったのです。問題行動も減り、学校行事やほかの授業にも積極的な態度を見せるようになりました。
 教師の根幹は「授業」だと思います。部活動を一生懸命に指導することも、生徒の悩みを親身になって聞くことも、教師としては大切なことです。しかし、魅力のない授業をする教師にだれがついていくのでしょうか。一斉授業でどうすれば生徒全員からの信頼を得られるのか。個に対応するための素材の選び方、授業の進め方、生徒への話しかけ方……そのどれもが難しいのですが、私は「ずく・・ を出して」取り組んでいます。長野県の方言で「労を惜しまず、よりよいものを目指して努力する」という意味です。生徒の実態を把握するのも、生徒に合った教材をつくるのも、決して妥協せずに取り組む。そうした教師の「本気」を、生徒は感じ取ってくれるのだと思います。
 生徒との信頼関係が崩れたときに、教室へ向かうのは本当に辛いものです。それでも教師を続けてきたのは、生徒の成長を感じられる瞬間があるからです。中学校はたった3年間ですが、子どもから大人へと最も成長する時期。その変貌ぶりを喜び、ちょっとしたことにも感動できるのが中学校教師の醍醐味だと思います。


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