特集 移行期間の課題と対策
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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【資料】再確認――新学習指導要領の移行措置

新学習指導要領のポイントと
全面実施までの動き

移行措置対応を進める上で押さえておきたい、新しい学習指導要領の特徴と、
全面実施までの今後3年間のスケジュールの見通しをまとめた。

1:新学習指導要領の特徴
「確かな学力」定着のため、授業時数、学習内容が増加

 中学校では2012年度に全面実施となる新学習指導要領。現行の学習指導要領の「生きる力」を育てるという基本理念を引き継ぎつつも、教育基本法等の改正、国内外の学力調査の結果、学力低下を懸念する世論などを受け、「確かな学力」の育成を強く意識した内容となっている。
 まず注目したいのは、授業時数、学習内容が大幅に増えることだ。授業時数が増える教科は、国語、社会、数学、理科、保健体育、外国語で、1年生から3年生までの3年間の合計授業時数は、1教科あたり35〜105時間増となる。現行に比べ、各学年とも週当たり1コマ増となる。
 学習内容についても充実が図られ、前回の改訂で削除されたり、上の学年で教えることになっていた単元が戻された(図1)。
 これに対し、「選択教科等」は枠組みそのものが無くなり、標準授業時数の枠外で開設可能となる。「総合的な学習の時間(以下、総合学習)」は標準時数の上限が減る。全体として必修教科の割合が増え、中学校教育としての共通性が高まったと言える。
 具体的な指導に関しては、教科を超えて「言語活動の充実」が強調された他、学習の基本サイクルとして、「習得」「活用」「探究」がキーワードとして挙げられた。
 全国学力・学習状況調査やPISA()の調査結果からも、日本の子どもは既習の知識を使いこなす力に課題があることが明らかに9なっている。習得した学習内容を「活用」「探究」に結び付ける活動を、授業の中でどのように実現するかが問われている。
 更に、カリキュラムに関しては、各教科における系統性を重視しながら複数の学年で繰り返し同じ内容を学ぶ「反復」や、小学校や高校との接続も重視されている。
*PISA=経済協力開発機構(OECD)が実施する、15歳児(日本では高校1年生)を対象とした国際的な学習到達度調査。2000年に第1回の本調査を行い、以後3年ごとに実施。07年12月に結果が発表された06年調査は第3回。第1回は読解力、第2回は数学的リテラシー、第3回は科学的リテラシーを重点的に調べている
図1:学習指導要領の改訂のポイント
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図1:学習指導要領の改訂のポイント

※2008年2月15日時点の文部科学省「各教科等の改訂案のポイント」より引用・抜粋

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