特集 家庭学習─机に向かう習慣づくり
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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すべての教師が 少しの努力で出来る取り組みに

 こうした実践の成果は、生徒を対象にしたアンケート調査結果に表れている。この3年間で、学年が上がるにつれて、「宿題がちょうどよい量だと思う」との回答が増え、逆に「宿題が多過ぎる」との回答が減っている。宿題提出率は、1年生では6割程度で7割を超えることはないが、2年生になると7割を超え、更に3年生になると8割を上回る。ただし、3年生でも1割強の生徒が提出を徹底できておらず、今後の課題だ。
 「本校の場合、家庭学習の場を『家庭』に限定すると、勉強する生徒としない生徒の学力差がますます広がる懸念がありました。そこで、すべての子どもに公平に与えられた学校という空間を積極活用しようと考えた結果、現在のような取り組みになりました。どの生徒にも公平に勉強する機会を提供し、必要な学力を保障し、将来は地域・社会に貢献する人間を育てること。これが公立中学校の使命です。そのためには、勉強の場にこだわる必要はありません」(倉橋校長)
 学習習慣の定着を打ち出した3年前、教師の間から反対意見は挙がらなかったものの、「具体的にどう取り組むのかを示してほしい」との要望が多かったという。そこで、まずはリーダークラスの教師がアイデアを出し合い、「これならできそう」と思われる段階まで詳細を詰めた後、全教師に示し、理解を求めた。そして、最初の2、3週間はキャンペーン期間として、教師と生徒への理解を徹底させた。
 「新しい施策を行う際は、若手教師でも出来ることをイメージして具体策を考えます。そして、出足にエネルギーをかけることで教師の意識は上がり、生徒も乗ってきます。すべての教師が少しの努力で出来ることを、弱点をカバーし合いながら組織全体で進めることが大切だと考えています」(倉橋校長)

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