特集 家庭学習─机に向かう習慣づくり
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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学芸委員会は、実務の支援と学習意欲向上の一石二鳥

 これらの取り組みにおいて、学芸委員会が果たす役割は大きい。委員会活動の一つで、1〜3年生の各クラス2、3人の希望者から成る。主な活動は、自主学習帳や各種チェック表の回収と担任への提出、各週間での目標決定、委員会だより「紙ひこうき」(図3)の発行だ。中でも重要なのは、目標や提出物の厳守の呼び掛けだ。
図3:学芸委員会だより「紙ひこうき」
定期テストの予想問題や、効果的な勉強法などを委員自身が調べて記事にする。学習強調週間の反省と課題など、委員会で話し合ったことも報告する
 「委員の目は厳しく、提出しない生徒にはきちんと声を掛けています。それでも生徒の人間関係が崩れたことはありません。役割で声を掛けていると他の生徒は理解しているからです。教師は『人に呼び掛ける立場だから、まず自分がきちんとしよう』と指導し、リーダーシップも育成しています」(小林先生)
 学芸委員会の一連の活動は、情報伝達や提出物の配布・回収といった実務面で教師をサポートするだけでなく、生徒自身が課題を自覚して学習に向かう意欲を高めるのに大きな役割を果たしているようだ。
 「学習強調週間」「学習訓練週間」の終了後は、学芸委員会でクラスチェック表を基に反省会を行う。その結果は、担任が今後の学級運営の取り組みに活用し、更に「紙ひこうき」に掲載して、生徒全員で共有する。「反省会で委員の生徒は真面目に発言していますし、みんな責任感を持って務めています」と、学芸委員会を担当する石川先生は言う。
 今後の課題は、少子化が進み、教師数が減ったときの対応だ。これらの指導は、生徒への個別対応を大切に出来る半面、課題のチェックに時間がかかる。委員会活動の一つとして取り組むことで教師の負担は減っているが、それも厳しくなる。ただし、石嶋校長は、今の体制を維持していきたいと話す。
 「学習強調週間、自主学習帳とも、生徒が各自の目標を達成することが大切です。課された課題をこなして終わり、ではありません。担任や学芸委員、生徒自身が必ずチェックをする仕組みは、たとえ回数を減らしても続けていきたいと考えています」

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