溝上　活動をリードする教職員と参加する学生、あるいは学生同士が親しく触れ合う環境をつくり上げることが、まずは必要でしょう。
　特に正課の活動を成功させるためには、教職員のシャドーワークが不可欠です。つまり、公式の会議以外でも、あらゆる機会を通じて学生と触れ合う努力が要求されるということです。学生を飲食に連れて行くのが典型例ですが、こうした人間的な触れ合いなくして、大学改革という堅い業務に彼らを引き留めることは難しいと思います。
　また、学生が学生を指導していくような仕組みをつくることも、シャドーワークの重要な部分を占めます。特に大学改革に関わる話題では、教職員から言われると干渉に聞こえるようなことであっても、先輩の学生から言われると素直に納得する場合があります。上級生から下級生に活動が伝達されるような学生同士のコミュニケーションをはぐくむ道筋を付けることも、教職員が気を配るべき点だと思います。

溝上　現実的には、教職員個人の能力に頼らざるを得ないところがあります。もちろんある程度のシステム化は必要ですが、それも割合の問題であって、個人的な力に負う部分は極めて高いといえます。考えてみれば、学生をモチベートしていくのは、授業にしろほかの活動にしろ、最終的にはその活動を率いる人物の気迫なり人間的魅力であって、マンパワーに依存するのは、ある意味で当然のことなのです。熱心な教職員が改革業務を離れると、学生が急速に興味を失っていく状況があるのは、やむを得ないとも思います。