溝上　無報酬が原則だと思います。交通費などの必要経費を出す場合でも、最低限にすべきでしょう。アルバイトにすると、活動そのものを金銭的な損得で判断するようになってしまいます。活動に対する報酬は金銭ではなく、別の形で得られるということを伝えるべきです。具体的には、就職活動時における強力なアピール材料になり得ることや、活動を通して自分の成長につながること学業やサークルとは違う教職員コミュニティに参加する喜びを得られること、などだろうと思います。
　個人的には、「居場所」と「コミュニケーション」を保証できれば、結果として学生はそれを報酬と見なしてくれるだろうと考えています。あくまで学生の自発的参加が基本です。

溝上　学生を巻き込むというのは、彼らと対話しながら教育改善活動を行うことです。しかし、学生には学生の理解のフレームがあり、大学や教職員の思惑通りには動いてくれません。まずは、学生の自主性を尊重し、その中から出てきた意見を改革に結び付けていくしかないのです。
　率直に言えば、学生を使わずに教職員だけで改革を進める方がずっと楽です。学生を活用することは、成功の対価が大きい代わりに、彼らのモチベーションを維持させるための多大な労力が必要になるということを忘れてはいけません。「なぜ学生を巻き込むのか」という問いに明確な答えを用意し、それを教職員が共有した上で始めるべきだと思います。