ここまで紹介してきた支援活動は、大学の正規教育課程の中で実施されているプログラムである。それ以外に、同窓会と連携したユニークな活動も展開されている。
　カリフォルニア大学ロサンゼルス校（ＵＣＬＡ）には、同窓会から奨学金を受けている学生で構成する「アラムナイ・スカラーズ・クラブ」という組織がある。卒業生の支援によって学んでいる学生に、学内でのボランティア活動を通してＵＣＬＡというコミュニティに貢献し、帰属意識を高めてもらうことが狙いだ。
　アラムナイ・スカラシップ（同窓会奨学金）の更新を希望する学生には、年間を通じて30時間、ＵＣＬＡの様々な活動やイベントにボランティアとして参加することが義務づけられている。02年度の年間実績を見ると、大学関係のイベントやその他の活動、例えば、同じアラムナイ・スカラーズ・クラブに属する後輩のチューターやメンターを務めるなどのボランティア活動をしている。
　学生時代にこのクラブに所属し、現在専門職に従事していたり、社会的ステータスの高い職業に就いたりしている卒業生が、メンターとなって後輩のメンバーを支える活動も、活発に行われている。外科医、弁護士、起業家、大学教授などが中心となっているこの活動は、卒業生と現役学生の両者から、非常に高く評価されているという。
　以上のように、アメリカの高等教育機関では、ピアリーダーが、学習面でも社会的な面でも、新入生や仲間をより良い方向に導きたいという信念を持って、様々なプログラムを実施しているという特色がある。プログラムは多様だが、いずれも目指すところは新入生の支援や学生のキャリア意識の形成などである。多くの高等教育機関は、上級生が新入生や後輩に与える多大な影響力を積極的に活用しているといえるだろう。