日本においても近年急速に、学生による学生の支援活動が広がっている。私が所属する同志社大学でも、比較的早くこのような支援活動を導入した。本学では、在学生による新入生向けキャンパスライフ・ガイダンスとして「ぴあアドバイザー制度」、在学生が下級生の相談に応じる「ぴあメンター制度」を02年度に発足させた。どちらも大学による正式の研修を受けてもらう。新入生へのガイダンスを主にオリエンテーション期間中に行うのが「ぴあアドバイザー」で、大学院生が主に下級生のメンターとなるのが「ぴあメンター」である。この２年間で特に「ぴあアドバイザー」によるキャンパスライフ・ガイダンスを受ける新入生の数が激増し、学生の支援が軌道に乗りつつある。
　「ぴあアドバイザー」や「ぴあメンター」は、単に新入生や下級生へのアドバイス機能を果たすだけではない。学生が他の学生を支えるという活動を通じて、キャンパスの構成員としての自覚を高める効果がある。その中で一定の役割を担って責任を果たすことで、自立的成長を遂げることになる。アメリカの例に見る学生による学生の支援活動においても、「ピアリーダー」という言葉が意味するように、リーダーシップの育成を図ることが制度の本来の目的である。
　今日、日本の大学においてもリーダーシップの育成が求められている。学生による学生の支援活動では、支援する学生の側には本人の成長やリーダーシップの習得が期待される。一方で、支援を受ける側の学生にとって、教員とは異なる同年代の学生がロールモデルとして存在することの意味は大きい。それによって、新入生が大学生活に円滑に移行できたり、多くの学生が充実したキャンパスライフを送れるようになったりするはずだ。