立命館大学のピアエデュケーションは、１年生の導入教育では「オリター制度」、２、３年生の専門基礎科目を中心とした教育では「ＥＳ制度」、３、４年生のキャリア教育では「ＰＬ制度」「ＪＡ制度」と、４年間にわたって展開されている。研修や活動の範囲などに課題はあるが、ピアエデュケーションの全面展開の体制は、ほぼ整ったと浅野課長は言う。
　報酬は、活動に応じて様々な形で支払われている。オリターは活動期間の長さに関係なく活動終了後に5000円を受け取る。ＥＳや常勤ＪＡには同大学の学生アルバイト基準を適用し、１コマ90分の授業で1600円を支給している。常勤以外のＪＡには、イベント参加のたびに図書券などを支給する。ＰＬは無報酬だ。
　ピアエデュケーションが正式な教育プログラムである以上、報酬は当然というのが、大学の考えだ。しかし、浅野課長は「活動に費やす時間や労力の対価と考えると、絶対に割に合わない金額で、アルバイト感覚でやっている学生はいないはず。自分の成長を実感できることこそが、本当の報酬だと私は考えている」と語る。教育効果が指摘されているため、単位として認定することも考えられるが、「単位目当ての学生が集まってしまう可能性もある」（浅野課長）ため、今後の検討課題としている。
　４年間のピアエデュケーションは、教え合い高め合う大学の風土が生んだ活力ある教育システムといえる。