ＡＯ入試と推薦入試で、簿記、珠算、情報処理、ワープロなどの資格を評価の対象にする大学が多い。とりわけ英語に関わる資格は、ほとんどの大学が評価の対象にしている。具体的には、（１）スポーツ・文化活動での実績などと併記して出願要件の一つとする（２）調査書の成績が出願要件を満たしていなくても出願を認める（３）学科試験の一部またはすべてを免除する（４）資格取得の難易度によって点数化して加算する、などがある。近年では、一般入試でこのような優遇措置を講じる大学も目立つ。
　英語の資格・検定というと、日本英語検定（英検）やＴＯＥＦＬ、ＴＯＥＩＣが一般的だ。05年度入試では、新たな検定試験「GTEC for STUDENTS ＝ Global Test of English Communication for Students」の成績を評価の対象に加える大学が登場した。06年度入試では、48大学14短大に拡大する予定だ（６月20日現在）。
　ベネッセコーポレーションが実施しているGTEC for STUDENTSは、リスニング、リーディング、ライティングの３技能の運用能力を絶対評価で判定する。800点満点中537点以上で「英語圏の短大に留学可能」、650点以上で「英語圏の大学に留学可能」と判定される。
　高校では22万人以上が受験し、文部科学省指定の研究開発校のスーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクールでは、77％以上が採用している。
　GTEC for STUDENTSを活用している私立高校の英語教員は、活用のメリットについて次のように語る。「本校のカリキュラムは、英数、理数、総合文理の３コース制で、各コースで授業の進度や教員の取り組み方が違うため、同一の評価軸で成績を評価することが難しかった。GTEC for STUDENTSの導入で、それが可能となった」
　GTEC for STUDENTSを活用している私立高校ではスコアが大きく伸びたコースの取り組み内容を英語教員全員で共有し、効果的な取り組みについては全コースで実施するようにした。その結果、全体の学力向上にもつなげることができたという。今後はスコアが大きく伸びた生徒の表彰も考えている。