改革進化論 あの挑戦は今 第1回 千葉大学の飛び入学

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
  PAGE 3/8 前ページ  次ページ

「千葉大に残れとは言わない、夢に向かう道を支援したい」


 04年夏、受験生に向けたホームページに先進科学研究教育センターの大高一雄教授が書いた文章には、自信がこもっている。「卒業生が、MIT、ラトガース大学の大学院にそれぞれ1名ずつ入学する。彼らは、他にもコロンビア大学、UCLAなど複数の大学院に対しても入学許可を得ている(中略)。何も、『海外へ行くべきだ』とか、逆に『千葉大に残るべきだ』などと言いたいのではない。夢に向かっておのが向きの道を歩んでいくのに必要な環境と援助を、先進科学研究教育センターが提供する、ということである」。
 センターの隣にある学生研究室で、昼休みに何人かの学生に会った。確かにみな元気で明るい。何を聞いても、気負いも照れもない。「大学院に行くが、4年間は学部で勉強する」と言う者もいれば、「できるかどうかわからないけど、3年でまた飛んでみたい」と言う者もいた。
 大高教授は、こんなメッセージも発している。「エベレストに初登頂したことと、後から追いかけて登った人とでは意味が全く違う。だれもやらない新しいことをやっていく人がいたことから、人類の歴史が始まった。君たちの関心事でいえば、一つの大学の入学をめぐって、小さな世界の勝ち負けの競争を潔しとしない元気の良さが、これからの日本を支えてくれると思う」。


  PAGE 3/8 前ページ 次ページ
目次へもどる
大学・短大向けトップへ