地域マネジメント研究科のカリキュラムは、「分析基礎科目」「地域基礎科目」「基礎科目」「応用科目」「プロジェクト研究」の五つの科目群で編成（図表）。各科目群は年次ごとに配置され、分析能力やマネジメント能力が段階的に修得できるようになっている。学生は問題意識に応じて科目を選択履修できる。

　五つの科目群のうち、地方大学ならではの特色は地域基礎科目だ。「四国地域経済」「日本における四国」「世界における四国」「四国の社会資本整備」という４科目を開講。すべて四国の地域事情に精通した非常勤講師が担当する。
　「四国地域経済」は、四国４地銀（百十四銀行、伊予銀行、阿波銀行、四国銀行）のシンクタンクの代表者など地元企業の幹部が、四国経済界の実情や取り組むべき課題について解説する。「日本における四国」は、重工業、情報産業、小売業、建設業など、業界ごとに四国経済の位置付けや課題を明らかにするもので、企業の地元支店長と四国経済産業局長が担当。
　世界の中での四国の位置付け、世界に向けて四国の特性をどう発信するかを考えるのが「世界における四国」だ。女性初の四国財務局長となった元内閣官房参与の中山恭子氏が担当している。例えば、四国八十八カ所を巡るへんろ道を世界遺産にできないか、といったことをテーマにして議論するという。
　四国地域の社会資本整備の現状と問題点を炙り出すのが「四国の社会資本整備」。本州と四国を結ぶ三つの橋の完成と、高速道路網の急速な整備によって、人、物、金の流れが活発化した。しかしそのために、仕事や買い物で本州に出かける住民が増え、地元の企業や商店の経営が悪化するストロー現象も起こっている。授業では、その問題にどのように対処すべきかを議論する。本州四国連絡橋公団、四国地方整備局、四国運輸局や四国経済連合会の代表が担当する。
　このほか、基礎科目や応用科目の中にも「地域公共政策」「地方財政政策」「地域マネジメント総論」「地域経済分析」など、地域の課題を取り上げる科目がある。「地域にはそれぞれ固有の特性があり、大都市部で成功した事例や手法が必ずしも地方都市では通用しないケースが多い」（井原教授）からだ。