地域基礎科目で四国の実態と課題を把握し、応用科目でそれを実際に地域政策や企業戦略に生かすための理論を学ぶ。それらの集大成として位置づけられている科目が、２年次後期の「プロジェクト研究」だ。自分で選んだテーマに取り組み、地域の再生と活性化のための政策提言をする。
　「地元の塩江（しおのえ）温泉郷の活性化といったローカル性豊かなテーマを取り上げる学生がいる一方で、中国で起業するためのビジネスプラン作成というグローバルなテーマに取り組む学生もいる」（井原教授）
　プロジェクト研究はこの秋からスタートするため、現在、専任教員が集まって学生ごとに指導方法を検討している。「地域が抱える課題は、どれも複数の要因が絡み合い、それぞれの教員の専門領域を融合させてアプローチしなければ、解決策は見いだせない。そのため、学生のテーマに合わせて複数の教員が指導することになる」と井原教授は話す。プロジェクト研究の成果を報告書にまとめ、修士論文の代わりとする。
　研究成果を地域の人々に公開する報告会の開催も検討している。県の政策担当者や財界人等を招いて発表し、意見交換やディスカッションもする予定で、中間報告を行う公開草案も考えているという。「外部から問題点を指摘してもらうことで計画を修正できる。よりよい研究ができれば、地域の課題に対する処方箋として活用できるのでは、と期待している」。
　こうした報告会の実施は、学生も強く希望しているという。「自分が研究していることが地域に還元されれば、それだけやり甲斐も生まれる」と、井原教授は言う。