特集 ―学校教育法改正を入り口に―教員組織をどう活性化するか

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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講座制の全否定ではなく組み替え可能な設計が重要

―助手の問題は、講座制の問題につながります。検討委員会では、講座制についてどんな意見が出ましたか。

荻上 当初は弊害ばかりが挙げられたのですが、次第に講座制の良い面も確認する流れになりました。実験系の場合、研究にお金がかかりますが、若手が自力で獲得できるのは科研費くらいです。教授が企業との共同研究など外部資金を取ってくるからこそ、若手も研究ができる。上が若手を育てるという指導体系も、講座制の利点でしょう。教員組織にはどうしてもチームという概念が必要なわけです。教育だって、連携もなく教員がばらばらにやったら学生は困るでしょう。
 問題は、従来の講座制があまりにも硬直的なこと。学問は常に動いています。変化に対応して新しいグループを設けて人を移すなど、組み替え可能な柔軟な組織でなければいけません。

―助教の資格は原則修士以上とされ、学士以上である現在の助手よりハードルが高くなります。

荻上 我々は当初、博士以上にしたいと考えていました。理系では現在も基本的に助手はドクターなので、問題ありません。ところが、なかなか博士号を与えない文系分野では、助教になれない助手が多く出てしまいます。助教を博士以上にするというのは、所定のコースワークを修めれば学位を取得できる課程制大学院制度と併せて実現するしかありません。現在、文科省が進めている大学院改革の結論を待つということです。
 ただ、文科省が作った組織の概念図には、助教の部分に「博士課程修了後、PD(ポストドクター)を経た者などを想定」と入っています。新助手の部分にはこのような注記はなく、助教と新助手はスタート地点が違うことを明示し、若手が自分のコースを選べるようにしたわけです。


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