１月11日の役員会の席上、小松学長は「授業料引き上げは教育の機会を奪うことにつながる。学生に負担をかけないように、経営努力をしていきたい。年間300人を超える中退者を減らせば、不足分は補填できるはず。学生に対するケアが大切だ。授業料を引き上げるよりもそちらを優先してほしい」と説明した。
　役員会では、授業料の据え置きや標準額の２分の１の引き上げなどによる影響をシミュレーションし、学内でどこまで対応できるか検討した。その結果、標準額の増加分に対して、05年度は約３分の２まで引き上げ、06年度に標準額に合わせるとの結論になった。

　法人化前は、各大学が授業料を自由に決めることはできなかった。法人化後も、護送船団時代と同じように、他大学の動きを見た上で決めるところが多い。しかし、愛媛大学では、他大学の動きとは関係なく、財務や学生への影響をどう判断するかが議論の中心となった。結果として、愛媛、佐賀など数大学が独自の判断を下し「国立大学の授業料、初の格差」と報じられた。
　役員会の決定は、教育研究評議会への報告、経営協議会での承認を経て、学長が記者発表した。
　受験生・在学生や保護者などに、引き上げに至った経緯を説明する必要があると考え、１月末日に学内掲示板および大学の公式ホームページで発信。さらに、保護者宛に文書を送付した。