岐阜大学が「自らの意思に基づいて定めた中期目標」の達成に対する各部局・個人の貢献度を評価し、その結果をそれぞれの改善につなげ、総体としての岐阜大学の価値と評価を高めるために構築されたものが、岐阜大学評価システムである。教職員の主体的自己改革を支え、大学を良くするという共通の目的の下に、個人の活力を部局の活力、部局の活力を大学の活力につなげる狙いがある。
　まず、大学の理念を長期目標、行動目標、中期目標、中期計画のそれぞれに反映させ、年度計画にブレークダウンしたプロセス図を作成した。各部局および教員（事務系職員には当面、別の評価システムを適用）には、岐阜大学の理念・目標、中期目標・計画を踏まえた目標設定を求める。評価システムの中に大学機関別認証評価や中期目標・計画に関わる年度評価を組み込み、組織評価および個人評価における評価項目との関係を図化した。

（1）教員個人評価

　教育に軸足を置く本学の理念を踏まえ、教育への貢献を基本に諸活動を評価することとし、「教育活動」「研究活動」「診療活動」「教育研究支援活動」、これらを支える「学内運営」、これらの成果に基づく「社会活動」の６分野を対象にする。評価項目については、分野ごとに全学共通、部局固有および個人特記事項の各項目を設定する。各教員が目標を設定する際には、６分野への貢献度の総計は全員同じ100％とし、分野ごとの貢献割合をガイドラインに沿って自ら設定することとした。
　全教員は、年度末に全項目について当該年度の実績を「個人評価の実施手引き」に従って数値化し、それに基づいて各分野の貢献度を３段階で自己評価する。部局長は、必要があれば修正を求める。次いで、後述する評価室が作成する共通項目および部局項目ごとの活動実績値分布に基づき、各教員は自らの活動実績と貢献度の全学、部局での位置を自己点検・評価し、次年度の貢献目標に反映させる。
　本学では、04年度から選択定年制を導入している。定年年齢を申請する59歳を起点に、53歳、47歳、41歳、35歳と、６年ごとの評価年齢年度に「総合評価」を行う。対象教員の６年間（過渡期となる10年度までは２年以上）の貢献度と部局内での位置付けを踏まえ、部局長が評価する。学長は部局長からの報告を基に、後述する組織評価結果も勘案して「格段に優れている」「おおむね良好」「要努力」の判定を下し本人に通知する。
　総合評価の結果に基づいて、各職位における貢献度・職務責任能力の点検を行う。そこで高い評価を得た教員については、本人の要望を踏まえ処遇に反映させる。問題のある教員には改善を促し、必要な場合には職位、職務内容を変更する。このシステムを、６年ごとに関門を設けるという意味で「関門制度」と呼んでいる。
　選択定年制度では、当該年度に59歳となる教員が、60歳から65歳までの間で（法人化前の定年は63歳）、自分の希望する定年退職の年齢を申請する。60歳から定年までの間の教育・研究の目標も併せて提出。学長は、これと59歳時の総合評価結果、部局長と役員の意見に基づいて総合的に裁定する。
　人件費節減のため、64歳となる年度以降の給与は90％に減額される。ただし、学長が教育研究上特に優れていると認めた教員には、100％を支給する。評価業務を担う組織として、学外者を室員に加えた評価室を設けている。

（2）組織評価

　組織評価は、本学が掲げる目標の達成に向けて部局の中期計画遂行および認証評価への貢献度を評価すると同時に、部局の活力を高めるために、３年ごとに行うものである。各部局は、中期計画にかかる年度計画の遂行状況および認証評価等のための評価項目の取り組み状況について、自己点検・評価を毎年行う。評価室は、それを検証すると同時に、優れた点や改善すべき点を指摘する。
　役員会は、３年分の各部局の自己点検・評価結果と評価室の指摘等を基に、中期目標達成および中期計画遂行への各部局の貢献度を評価する。中期および年度計画の遂行状況を各事項とも４段階で評価し、全事項の平均評価点に対し「優れている」「標準的」「問題あり」の３段階評価を行う。役員会は、「優れている」と評価された部局には学長裁量経費や政策経費の優先的配分等を行う。「問題あり」とされた部局に対しては、改善要求を行うなどの措置を講じる。