特集

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
  PAGE 30/33 前ページ 次ページ

GPの成果を評価する時代が到来

 いかなるプロジェクトにも、効果測定が欠かせないと言う。また、いかなるプロジェクトにも費用対効果分析が必要だと言う。しかし、「言う」と「実行する」のは別物だ。応募段階では鳴り物入りでその効果が喧伝され、GP採択当初は「他大学の模倣できない、オリジナルな発想」が強調される。しかし、本当に成果があったかどうかの検証はなされているのかというと、疑問がないわけではない。
 費用対効果分析についても、同じことが言える。プロジェクトには、それなりの予算が投入される。果たして、費用に見合っただけの効果は得られたのだろうか。GP採択は大学の宣伝効果だけあれば結構という話もあるが、それでよいのだろうか。
 効果測定にしても費用対効果分析にしても、誰が主体となって分析するかによって、方法も結果も大きく異なる。最も大きな相違は、実際にそのプロジェクトを立ち上げ、計画を立案して実行し、その経過を観察していた当の教員が自己評価として行うか、それとも第三者が行うか、である。
 「このプロジェクトは絶対に成功する」と自信を持って言える当事者は、一部を除いてほとんどいないだろう。第一線に立ち、現実の厳しさを知っていればいるほど、プロジェクトの長所よりも短所の方が目に付く。こんなことで目標を達成できるのだろうか、と自己嫌悪に陥る。おそらく多くのGP申請書類作成者は、プロジェクトの長所と現実の厳しさとの狭間で筆先が揺れたことだろう。
 しかし、応募時に短所や限界ばかりを挙げていては、採択されるものも採択されなくなってしまう。ここに、GPが実際には美辞麗句を競う作文コンクールに陥っていないか、という疑惑、危惧を否定しきれない。
 さらに、プロジェクトに深く関われば関わるほど、プロジェクトの効果はいつまで維持できるのかと疑問を抱く。万事変転極まりない現代では、昨日まで通用していたことが、明日には通用しなくなる。特色あるプロジェクトといえども、半永久的ではなく、寿命がある。


  PAGE 30/33 前ページ 次ページ
目次へもどる
大学・短大向けトップへ