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Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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採択後、長続きしないGPプロジェクト

 GPは実施から5年目となり、当初の目標を達成できたかを問われる時期に来た。正式な評価については、いずれ行われるのを待つことにし、ここではいくつかの論点を提起する。
 文部科学省は、GP募集に際し「学長のリーダーシップの下に全学挙げて取り組んでいるプロジェクト」という条件を強調したという。しかし、私の知る限り、2、3の例外はあるが、改革のイニシアチブを取ったのは一般教員だ。それを申請のために、あたかも学長主導の下、全学を挙げて取り組んでいるかのような体裁にして申請した場合が多かったと聞いている。
 一般教員主導となる理由は単純で、学生の変化に驚き、どうにかしなければと危機感を抱いていたのは、教壇に立ち、日々学生と接する教員だからである。教壇に立つ機会がない者には教室の雰囲気は分からない。分からないからイノベーションは生まれようがない。GPは「手作り改革」に奮闘する教員にとって良い刺激となった。
 一方、大学経営陣にとって、GPはぜひとも手に入れたい代物だ。GPを獲得すれば大学の名が上がる。宣伝もできる。校舎に垂れ幕を下げられる。そこで、GP採択の可能性の高いプロジェクトが支援されるようになった。
 ここで問題を提起するとすれば、GP獲得後、プロジェクトが学内でどう位置付けられ、どう処遇されているかである。大学経営陣の中には、GPに採択されることだけが目標で、採択された後は見向きもしない者がいるそうだ。さらに、同じプロジェクトは再びGPには採択されないため、大学経営陣は採択までは支援をしても、採択されればそのプロジェクトに無関心になってしまうという。ここに、プロジェクトが長続きしない原因があるのではないか。熱意ある教員が懸命に立ち上げたプロジェクトが、GPに採択された途端、宙に浮いてしまった例があるというくらいなのだ。


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