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Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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新しい意識を持つ教員の出現で世代交代が進む

 第4に、ちょうどその頃、18歳人口の減少とともに、入学者の気質が変わり始めた。彼らの多くは、もともと数学が嫌い、物理や化学も苦手、英語、国語、歴史も嫌いという世代だ。「もうこれ以上、学校へは行きたくない」「勉強は嫌い」という高校生が大学を目指す時代が到来した。
 以前なら、こうした生徒は、大学進学ではなく就職を選んでいた。ところが、バブル経済破綻で高卒就職市場が悪化し、就職したくても就職先が見つからなくなった。その頃から、社会ではニート(当時はこういう言葉はなかった)やフリーター問題が話題となり、きちんと働かなければ世間体が悪いという風潮になった。ひところまで、フリーターは一部の若者の間で「カッコイイ」とされていたが、その意識も世間の見る目が変わり、なくなった。その結果、「どこでもいいから大学へ行きなさい」と親に言われ、仕方なく大学に入る学生が増えた。
 大学もまた、18歳人口の減少を前にして、AO入試、推薦入試などの様々な方法で志願者獲得に乗り出した。こうした中で、これまで見かけなかったタイプの学生が、キャンパスにあふれるようになった。
 第5に、教員にも世代交代が起きた。新しいタイプの学生を目の前にして、若い教員が奮闘努力し始めたからだ。年長世代が伝統的なアカデミズムにしがみついていたのに対し、年齢が比較的学生に近い教員は、今の学生が何を求めて大学に来るのかを敏感に感じ取ることができた。伝統的なアカデミズムはあまりにも時代遅れだった。
 新人類の教員にとって、大学院時代に習った学問は役に立たず、先輩教員も助けにはならなかった。ましてや、世間離れした議論の飛び交う学会は、何のヒントも与えてくれない。かろうじて頼りになるのは、同年代の新米教員くらいだ。彼らは、目の前の学生にどうやってわが身を合わせたらよいのか、模索し始めた。彼らは自分の教室の中で、いかにして授業を組み立てるか、いかにして学生の関心を喚起するかを、正面から考え始めた。
 こうした様々な背景を受けて、GPの応募件数は予想をはるかに上回るものとなった。


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