企画2

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
  PAGE 12/12 前ページ

 ユニークな活動としては、他学部に自分の学部を知ってもらおうと、芸術文化学部の学生が自主的に開いたイベントがある。「アートバトル」という、2メートル角のパネルに、音楽をかけながら即興で絵を描くというイベントで、過去に何度も高岡キャンパスや市内の各所で開いてきた。それを五福キャンパスでも開催したのだ。
 大学祭は3つのキャンパス合同ではなく、それぞれ別日程で開催されている。それが逆に学生が他キャンパスの大学祭に足を運びやすい、というメリットになる。また、地域で行われるイベントやワークショップへの参加者を、学内全体で募集するなど、他学部の学生同士の交流が学外でも活発になるように工夫している。
 「1つの大学となったことで、ほかのキャンパスがどんな様子なのか、どんな学生がいるのか、好奇心を抱く学生は多い。その好奇心を行動に結び付けられるような場を設けていきたい」と、前田学部長は語る。

写真

写真3 JR高岡駅の地下通路に、芸術文化学部の学生が制作した作品のギャラリーがある。学生がよく利用する場所であるため、地域住民に対してだけでなく、学内広報にもつながる。写真はオープニングセレモニーの様子

 通常学生にとって、他学部が何を研究しているのかを知る機会はあまりない。再編・統合して間もない富山大学ではなおさらで、まずは学内の他学部の取り組みを伝える「インナー広報」を進めていくことが重要だろう。
 その一助となるのは広報誌『Tom's Press』だ(写真4)。旧富山大学時代に発行していた学内広報誌をリニューアルし、再編・統合した2005年10月に創刊した。現在まで5号を発行している。この広報誌は構内の各所に置かれているほか、大学の公式ウェブサイト内でも閲覧できるよう掲載されている。内容は、学部・研究科の教員紹介、研究内容にちなんだコラム、公開講座や地域との連携活動の紹介などが中心だ。編集には各学部、研究所等から1人ずつ集まり、学内のそれぞれの組織が何をしているのかを伝える冊子にしよう、という意気込みを持って制作している。
 西頭学長は、「地域のニーズや文化に合った教育と研究を重ねてきたという点で、3大学は共通していた。その良き伝統と文化を踏襲しつつ、この再編・統合によってもたらされた総合大学としてのメリットを加味して、ますます地域に貢献していきたい」と今後の展望を語った。
 新大学発足2年目を迎えた新生富山大学のこれからに期待したい。

写真

写真4 広報誌『Tom's Press』第5号。
誌面は富山大学のウェブサイトでも閲覧できる
http://www.u-toyama.ac.jp/jp/outline/toms_press/index.html
(2007年9月現在)

  PAGE 12/12 前ページ
目次へもどる
大学・短大向けトップへ