調査分析

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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顧客である学生の視点に立った改善を

 第二に注目したい点は、大学の目指す方向性と学生の評価とのギャップである。
 前ページ図2を見ると、大学の自己評価として「大学での学習の目的が示されている」はトップだが、「学生の理解度に応じた授業が多い」は最下位である。大学が顧客(学生)志向になりきれていない様子がうかがえる。このような大学の姿勢を裏付けるように、前ページ図3の「教員が質問や相談にきちんと対応している」において、大学の自己評価と学生評価のギャップが大きい。大学側が学生に「教えてやる」という姿勢が見え隠れしているようにも思える。
 学生の評価のみならず、大学の自己評価でも「授業評価が授業の改善に役立っている」の数値は低い(前ページ図2)。教育力の向上に欠かせない授業評価に、今後、しっかり取り組みたい。
 例えば、実際の評価者である学生の意見を反映させて、アンケート項目の見直しを図っている大学がある。アンケート結果については、各教員に「授業実施報告書」の作成に当たって、コメントを付記するように協力を呼びかけている。授業アンケート以外にも学生の意見を吸い上げ、それを授業改善に反映させるための場を設定。そのほか、学生が授業に関する不安や悩みなどを相談することのできる「授業相談室」を開設する等、様々な工夫を凝らしている。
 大学が取り組みやすいことを中心に活動する「プロダクトアウト」から、学生のニーズを優先する「マーケットイン」へ――。大学の自己評価と学生評価のギャップが示唆している、大学に迫られた転換ではないだろうか。


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