リーダーズマインド

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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現代に求められるリベラル・アーツ教育

片岡 一部には、リベラル・アーツ教育は、いろんな学問をつまみ食いするだけで、結局、何も得るものがないという意見もあります。

 新渡戸先生は、「教えられたことをすべて忘れた後に残っているのが教養である」とおっしゃっています。また、「大学の使命とは、心を自由にし解放することである」とも述べています。真理を見いだすために、例えば、文学的な視点、または社会学的な視点からと足場を変えながら学ぶことにより、自己を自由にできます。そして、どう生きるのかを考え、選択できる意志と目標を見いだす力を養うことができるのです。

片岡 企業の採用試験の面接をしていると、「こんなに資格を持っている」ということを強調する学生がいます。しかし、企業が求めているのは、しっかりした素養のある人、つまり教養があり、伸びしろがある人なのです。

 本学では、英語力を身に付けさせるだけではなく、英語を用いてしっかり議論できる人を育てようという試みを行っています。

片岡 カリキュラムを拝見しましたが、「ディベート・スキルズ」という授業が多くて驚きました。

 「キャリア・イングリッシュ・アイランド」と呼ばれる、英語で発言・発信する力を高め、国際社会で活躍できる「行動的な英語力」を育成するプログラムもスタートさせました。これは、2004年度の現代GPに採択されています。

片岡 創立90周年を迎え、2009年には現在の学部を統合し、「現代教養学部」を立ち上げられる予定ですが、新体制移行のねらいを教えてください。

 現在は、学科別の研究領域に重点を置いてきた「文理学部」と、現代性・学際性・国際性の獲得をめざす「現代文化学部」から成っています。リベラル・アーツ教育の理念は変わることはありませんが、実現の方法は、時代のニーズに即していなければいけません。
 2つの学部が協力して「現代に求められるリベラル・アーツ教育」を立ち上げ、「専門性」と「学際性」を備えた、グローバルな世界で活躍できる教養人を育てたいと考えています。

片岡 強く心に残るお話を伺いました。ありがとうございました。

図
 東京女子大学は、2009年4月から新体制で再出発する。これまでの2学部10学科を統合・再編。「現代教養学部」1学部4学科12専攻とし、学科の中で横断的に学び、他学科の科目も広く学べるリベラル・アーツ教育を展開する。
 4教育分野「人文学」「社会科学」「人間科学」「数理科学」が明確になったと同時に、社会科学分野の充実のため、国際社会学科に「国際関係」「経済学」「社会学」の3つの専攻を設置した。
 リベラル・アーツの普遍的な理念をそのままに、現代社会のニーズによりマッチした「専門性」と「学際性」を備えた教養人を育成するのが目的だ。

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