学士課程教育の構築に向けて
現状と改革方針を探る

調査時期…2008年８月
調査対象…全国の私立大学３２校の学長・総長
調査方法…対面、またはアンケート

１：学士課程教育の改善への取り組み

※（１）かなり進んでいる　（２）まあ進んでいる　（３）あまり進んでいない　（４）進んでいない、これから着手する　で回答
1.学士課程教育の構築に向けた、教育課程の体系化・構造化
2.学生の「幅広い学び」を保証するための、意図的・組織的な工夫
3.学生の学習時間等の実態把握、単位制度の実質化の観点による教育方法の点検・見直し等
4.シラバスの国際的な通用化
5.社会奉仕体験活動、フィールドワーク、インターンシップ、海外体験学習など、学外での体験学習
6.成績評価基準の組織的な事後チェック
7.学生が在学中の「学習成果」を証明する機会の設定、その集大成に対する評価
8.大学評価システムについて、組織における明確な達成目標の提示、自己点検・評価

２：育成すべき学生像

※重要視の度合いを０〜５で回答（重要度：低い０＜高い５）
1.研究者をめざす学生　2.高度職業人をめざす学生　3.社会に出て即戦力となる学生　4.幅広い教養を身に付ける学生　5.特定の専門的分野（芸術、体育等）のスキルを身に付けた学生　6.地域に貢献する学生　7.国際社会で活躍する学生　8.その他

３：力を入れていく大学間連携のタイプ

※重要視する順に３つ選び、1番目に選んだ理由を明記
（１）他大学との共同学部・共同大学院設置　（２）教員・職員を中心としたネットワークへの参加　（３）地域のコンソーシアムへの参加　（４）他大学と の共同研究　（５）教育研究を中心とした包括的な連携協定締結　（６）その他

４：教学経営を活性化させるための学長の役割

５：教員・職員に求める能力

※それぞれ重視する上位３つを選び、１番目に選んだ理由を明記
【教員】　（１）授業担当・研究指導 （２）専門の研究活動　（３）教育研究にかかわる助成に採択されるための取り組み　（４）学生募集・選考、入試業務（５）学生相談・就職指導　（６）学生ニーズの把握と教育の企画　（７）学部・学科の将来構想の企画 （８）大学運営にかかわる会議・委員会活動　（９）地域との交流、地域ニーズの把握　（10）各種審議会、委員会、研究会、学会等での活動　（11）業界・企業・団体との交流　（12）その他
【職員】　（１）戦略的プランニングを立案できる能力　（２）ミッションを堅持し、ビジョンを提案できる能力　（３）政策を実現できるマネジメント能力　（４）新たな価値創造能力　（５）コミュニケーション能力　（６）複数の業務領域で生かすことができる知見　（７）業務管理能力　（８）人事管理と人材育成能力　（９）プレゼンテーション能力　（10）教職員・学生から信頼される人格と教養　（11）使命感と強い意志　（12）その他

６：３年以内の改革推進予定

※具体的な回答を優先して掲載
（１）高校との接続　（２）教学〈入学後〜２年次〉　（３）教学〈４年間全体〉　（４）学部改組・再編 （５）教員・職員　（６）組織・運営　（７）教育環境 （８）研究　（９）国際化　（10）他者との連携　（11）広報

　ヒアリングの回答結果を設問ごとに集計してみた。
　学士課程教育の内容・方法の改善について、特に進んでいる取り組みは「学外での体験学習」。「教育課程の体系化・構造化」も「かなり進んでいる」と回答した大学が多かった。最も進んでいない取り組みは「成績評価基準の組織的な事後チェック」。「進んでいる」大学は半数以下だった。
　「育成すべき学生像」で最も多かった回答は「即戦力」。「研究者」はポイントが低く、５を付けた大学は皆無だった。
　力を入れていく大学間連携のタイプは、「地域のコンソーシアムへの参加」「教育研究を中心とした包括的な連携協定」の２つに回答が集中した。新しいタイプの「共同学部等の設置」は６校が重要視。改革意欲が感じられた。
　「学長の役割」は予想どおり、リーダーシップ、ビジョン・ミッションの明確化といった回答が目立った。
　教員に求める能力は、１位の「授業担当・研究指導」を除くと「学生ニーズの把握と教育の企画」「専門の研究活動」が二分した。「教育に力を入れながら研究も」という要望がうかがえる。一方、職員に求めるのは、戦略的プランニングの立案、マネジメント能力、ミッションの堅持・ビジョンの提案、といった高度な能力で、職員の成長を期待する意図がうかがえる。