近年に見られる大学間連携の形態は、地域の枠を超えた連携、国・公・私立を選ばない協定、共同学部・大学院の設置など、多種多様化している。
　その背景には、大学の存在意義、教育のあり方が注目される時代になり、大学の教育力を向上させるための大学間連携事業が盛んに行われるようになったことが挙げられる。それは、志願者獲得のために他大学と「競争」する、という概念の枠を超え、「協同」することにより、一方にあって他方にはない長所を互いに吸収し合い、学び合いながら、共にレベルアップしようという考えに基づく。
　この考え方の一つとして、2004年の「全国大学コンソーシアム協議会」の発足が挙げられる。発足当時は全国の28大学コンソーシアムで組織されていたが、現在は40の大学コンソーシアムが加盟している（2008年７月現在）。毎年１回開催される「全国大学コンソーシアム研究交流フォーラム」では、シンポジウムや分科会の中で、大学間連携やFD・SDなどについて論議される。
　文部科学省の新たな動きにも注目したい。2008年度、大学教育改革支援事業の一つとして「戦略的大学連携支援事業」の公募が行われた。申請件数は94件、申請大学は延べ451校。公的資金獲得のための申請には大変な時間と労力を要するが、451の大学が申請したことは、大学間連携に対する関心の高さを示しているといえよう。
　競合する組織の連携をどのように推進していくのか、高等教育界は暗中模索の状態にある。その一方で、企業間では、情報、研究、生産、販売、物流など、多岐にわたる「協同」がすでに一般化している。こうした連携は企業の競争力を高める戦略として欠かせない。企業間連携のノウハウは大学間連携の加速に大いに役立つだろう。