第三者評価機関に聞くＳＡの役割

認証評価システムを活用し、学生の位置付け方の見直しを

（財）日本高等教育評価機構　評価事業部長

伊藤敏弘　氏

　（財）日本高等教育評価機構の評価基準には、学生について「自律的な学習活動を行う主体であり、大学の構成員として位置付けることが求められます」と記しています。学生は単に授業を受けるだけの存在ではないととらえることが、教育の質向上につながると考えるからです。
　これは、調査で訪れたアメリカのアクレディテーション団体「New England Association of Schools and Colleges」の大学評価における考え方を参考にした基準です。アメリカでは、大学の自己評価に学生の参加を義務付けるなど、「学生のための大学」という視点で評価をしていることが印象的でした。
　日本の多くの大学では、授業評価アンケートの取り組みは根付いてきましたが、それを教育改善や大学運営に生かすことは、これからの課題です。
　今や教員からの一方通行で授業が成立する時代ではありません。ＳＡの存在は、授業を双方向化する上で有効です。ＳＡが入ると、教員と学生の意思の疎通がしやすくなります。ＳＡは、学生と教員をつなぎ、学生に自律的な学習を促す役割を果たしているといえます。
　それだけではなく、ＳＡを経験した学生は大学への帰属意識が高くなり、卒業後も大学に協力してくれるということも期待できるのではないでしょうか。
　本機構の評価の視点にも「学生の意見等を汲み上げるシステムの整備」がありますが、学生を教育改善や大学運営に役立ててほしいと思います。