学生・教職員教育改善委員会の具体的な改善策が次々と実行に移される背景には、学生委員のやる気を高める大学側の工夫がある。学生委員は1年次の5月に任命されるため、当初、活動内容をあまり理解していない。橋本教授は、「教員に声を掛けられて何となく引き受ける学生が多い。いかに学生の潜在能力を引き出すかを常に考えている」と話す。
特に心掛けているのは、学生の自主的な企画を尊重すること。活動の大半はWGでの話し合いから生まれ、すべて学生の手で具現化する。教職員の厳しい指摘を受けることもあるが、自分たちで考えた企画だから、何とか実現させようとがんばるという。実現すればやりがいを感じ、活動に熱心になる学生が多い。こうした過程を通じ、学生委員は企画力、交渉力やリーダーシップなどを身に付けていく。
ただ、学生委員以外の学生は、教育改善に対する関心が低い。現在は、授業評価アンケート、大学授業改善論の授業、学内各所に設置した意見箱などによって、全学生の意見を集めている。今後はウェブサイトを活用しながら、教育改善への意識を浸透させようとしている。
「『自分たちの意見で大学を変えていく』という意識を持つ学生は、学びの姿勢も主体的」と橋本教授は指摘する。この言葉は、学生参画による教育改善が、主体的に学ぶ学生を生み出す可能性を秘めていることを示唆している。
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