学生委員は「授業改善」「システム改善」「学生交流」の３つのワーキンググループ（ＷＧ）に分かれ、随時、会合を開いて改善案を作成する。これを月1回の全体会で検討し、具体化する。
　「授業改善WG」では、学生発案型の授業と授業評価アンケートの改善を提案する。
　これまでに学生発案型授業を7科目開講した（2009年度開講予定を含む）。工学部の学生委員が発案した「ドラえもん＊の科学」では、漫画に登場する未来の道具の実現可能性や開発課題などについて、科学的・工学的な観点から学ぶ。学生投票による「新授業創作コンテスト」の最優秀作に選ばれ、2006年度に開講した。
　また、2004年度に開講した「大学授業改善論」は、授業改善をテーマとした科目だ。グループごとに自分たちが履修する教養科目の改善案を練り、担当教員に提案。提案した結果をレポートにまとめる。学生委員だけではなく、一般の学生にも教育改善に関心を持ってほしいという考えから発案された。この授業での提案を受けて、実際に指導法を変えた教員もいる。
　学生発案型授業は、学生の興味・関心から生まれた授業とあって、いずれも履修希望者が多く、やむを得ない事情で廃止したものを除き、正式科目として定着している。
　授業評価アンケートの改善では、授業改善WGの提案によって、９つの質問項目のうちの１つを「この授業を受講することで、この分野の重要性をさらに深く認識するようになった」とした。橋本教授は、「授業の本質を理解したか否かを問う重要な質問だ。これが学生から提案されたときには驚いた。教員にとっては盲点だった」と評価する。
　 岡山大学では、2009年度から授業評価アンケートの結果を教員の昇進や給与の査定に反映させることを決めている。これも学生の意見を尊重する方針の表れだろう。
　「システム改善WG」では、学習環境全般の改善を検討する。2005年度には、履修希望者が集中する教養科目での抽選制度について、学生を対象にアンケートを実施。履修希望者の集中を緩和させる方法など、学生の不満を軽減する改善策を提案した。2007年度には、大学側に、履修単位の上限を定めるキャップ制の再考を申し入れた。経済学部はこの提案に応え、キャップ制を少し緩和した。
　「学生交流WG」では、学生同士の交流活動を提案する。主な活動は毎年４月に行う「履修相談会」だ。学生の視点から、新入生にシラバスの見方や履修科目の選び方などを助言する。2008年度は９割近くの新入生が参加した。
　2004年度に始めた「教育改善学生交流ワークショップ i＊See（アイシー）」も継続している。全国各地の大学に呼び掛け、毎年120人前後の学生・教職員の参加を得て、教育改善についてのディスカッションや各大学の学生参画事例の発表などが行われる。