特集

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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CASE2 カリキュラム改定

「教養の一部としての専門」という理念を
FDを通して全学的に共有

玉川大学


玉川大学は、コア科目によって「生きた知識、人間としての教養」の教育を掲げる。
その運営を担ってきたコア・FYE教育センターを発展的に解消し、
2009年度に学士課程教育センターを設置。
幅広く高度な専門知識を持つ教養人を、4年間を通して育成することをめざす。

専門の限界を超えるために学びの方法論修得が必要

 玉川大学は、学生に幅広い教養を身に付けてほしいと、1995年に全学共通の「コア科目」を導入した。初年次教育として1年次に必修の「全人教育・FYE(First Year Experience)科目群」と、「言語表現科目群」「社会文化科目群」「自然科学科目群」「総合科目群」の4つで構成する。コア科目を通して、学生がさまざまな分野の学問に触れ、専門以外の知見を広げるとともに、異分野にアプローチするための方法論を修得することがねらいだ。図
 学士課程教育センター副センター長の菊池重雄氏は、「教養は、あくまで高度な専門知識に裏付けられて身に付くものであり、専門は教養の一部にすぎない」と話す。
 「どの分野でもそうだが、専門分野を追究すると必ず限界に突き当たる。例えば、臓器移植の問題では、医学の知識はもちろん、法律学、倫理学や宗教学などの視点や知見が必要だ。専門を究めた人ほど、隣接分野の専門的な知見の必要性を痛感するが、そのような知見を完全に修得するのは難しい。そのため、専門外の分野の知識が必要になったとき、自分なりに勉強や研究を深められるよう、方法論や態度を身に付けておくことが重要になる」。
 コア科目を4年次まで自由に履修できるのも、必要に応じて学びの枝葉を広げてほしいという思いからだ。実際、経営学部で学ぶうちに限界を感じ、コア科目の中の哲学や心理学などを履修して、専門とは違った角度から経営学をとらえ直す学生がいるという。コア科目を活用して、多くの学生が視野を広げている。


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