特集
Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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教養教育の目的達成には教員の意識改革が必要

 自ら学び考え続ける力と自己相対化力を育成するには、どうすればよいのだろうか。
 そのために重要なのは、教員が、前述したような大学の本質や本分を再確認することではないか。それは、大学教員という専門職が担うべき職責・学識を再確認することでもある。米国をはじめとする海外では、アーネスト・ボイヤーの学識再考(「発見=研究」「教育」のほかに「統合」「応用」を、大学教員の職業的専門性に加えるよう再定義する流れ)や、SOTL(Scholarship of Teaching & Learning)の動きなどがすでに見られる。このような意識改革が、FDの本質であると考える。
 具体的に言えば、それは、大学教員が、知の体系を教える中で、知識の伝達だけでなく、学生の「自分で考える力・考えるべき課題を見つけられる力・自ら学び続ける力・自分自身や自分が学んでいることを相対化する力」等の育成にも、もっと自覚的になることである。
 このような大学教員の意識改革をベースに、大学の全学共通教育・専門教育全体(個々の授業活動とカリキュラム全体)の随所に、先に述べた力=教養を育む教育を埋め込んでいくことが、重要ではないだろうか。


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