日本の大学の退学者数、退学率総括データは、残念ながら公表されていない。読売新聞が行った調査*1では、2007年度1年間の全大学の退学率平均は2.5%*2であった。2007年度の学部学生数は約251万人*3であるから、大ざっぱに見積もると、全国の大学で6万人程度が退学したことになる。
一般的に退学率だけを取り出しても、効果的な経営指標として利用してIRの役割を果たすことは困難である。IR的視点で見ると、(1)退学率の裏側に潜む退学理由、(2)大学の学生に対する関与(学生支援や学生指導)の度合いと効果、(3)大学に対する満足度、を分析し、改善策を提案することが重要となる。
退学率の増減は、大学関係者にとって非常に興味のある情報の一つであり、その理由を明確に把握することが重要である。大学生の主な退学理由には下の表のようなものがある。
この中で、「就職・就職準備」「進路変更(他大学受験・入学、他大学への編入学、専門学校受験等)」は、自らの夢や目標に向かう前向きな退学であり、積極的退学といえる。それ以外は、自らの夢や目標とは一致しない退学であり、消極的退学と位置付けられる。
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